8割も増えた居酒屋の倒産。アフターコロナになっても売上不振が続く
[2023/10/9 00:00]
8割も増えた「居酒屋」の倒産
居酒屋の倒産が、昨年に比べて8割も増えました。
調査会社の東京商工リサーチによれば、2023年度上半期の居酒屋の倒産は「81件」でした。
これは、前の年度の同じ時期よりも80%も増えています。
今年度は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが変わり、居酒屋にとって望ましい状況のはずですが、そうはなっていません。
コロナ前の6割しかない「売上」
倒産が増えた一番の原因は「販売不振」で、全体の8割以上を占めています。
日本フードサービス協会の調査によれば、「パブ・居酒屋」業態の売上高は、2019年の66.5%にとどまっています。
観光地や繁華街などへの人の流れは回復しましたが、居酒屋の売上は戻っていないのです。
終わってしまった「持続化給付金」
次に挙げられるのが「新型コロナ支援策の終了」です。
新型コロナが流行した過去3年間は、居酒屋にとって苦しい時期でした。
特に、時短営業や酒類の提供停止が行なわれた2020年上半期は、過去最多の92件の倒産がありました。
しかし、政府による「持続化給付金」などの支援策によって、2021年と2022年は倒産が減りました。
2023年には、それらの支援策が終わったことで、資金繰りが苦しくなったのです。
過去2年に渡って倒産に至らないように食い止めていた支えが外れてしまい、一気に倒産が増えたのです。
コロナで減らした従業員が戻ってこない
また、居酒屋では「人手不足」の影響も大きくなっています。
居酒屋では、新型コロナの流行中に人員削減を進めていました。
また、コロナへの感染を恐れて離職する従業員も少なくありませんでした。
それが、現在の深刻な人手不足を招いているのです。
東京商工リサーチはこのような状況を踏まえて、「居酒屋を取り巻く環境は厳しく、倒産は高止まりが続く可能性が高い」としています。