居酒屋の倒産が急増。過去最高の2020年を上回るペース

[2023/6/8 00:00]

コロナ直撃期を上回る倒産ペース

企業情報サービスの帝国データバンクによれば、今年の1月から5月までに倒産した「居酒屋」は88件に上りました。

これは、昨年に比べて、4割も増えています。

このペースでいくと、2023年の居酒屋の倒産は、過去最高だった2020年の189件を上回る可能性があります。

2020年は、新型コロナウイルス感染症の直撃を受け、居酒屋の倒産や休業が相次いだ時期でした。

出典:帝国データバンク

公的支援の終了が経営に影響

居酒屋の倒産で、特に増えているのが、経営規模が小さい店舗です。

例えば、資本金が100万円に満たない零細な居酒屋だけで、倒産件数の半分近くを占めています。

これは、新型コロナが流行していた2020年から2022年にかけて行なわれていた、公的な支援がなくなったことが影響しています。

新型コロナの流行時には、居酒屋の営業が制限される一方で、「時短協力金」や「雇用調整助成金」など手厚い支援が行なわれていました。

零細な居酒屋の場合、これらの公的支援によって、現金収入が増えた例もありました。

そのため、公的支援が打ち切られたことで、資金繰りができなくなり、事業の継続を断念してしまう事例が多いのです。

出典:帝国データバンク

店舗にかかるコストが上昇

現在、新型コロナの法的な取り扱いが変わったこともあり、居酒屋への需要は回復しつつあります。

しかし、個人客は戻っても、会社による宴会などの需要は戻っていません。

また、人件費の上昇や、電気代の高騰など、店舗を維持するためのコストも上がっています。

そのため、「客足の戻りに比べて利益率は良くない」といった声も上がっています。

新型コロナにより大きな影響を受けた居酒屋ですが、コロナが一段落しても、当面は苦しい経営が続くでしょう。

[シニアガイド編集部]