介護と仕事の両立のために使える5つの制度。条件に合えば要介護認定が無くても利用可能
働きながら介護をするために使える5つの制度
「介護離職」をテーマとする厚労省の審議会において、介護と仕事の両立のために用意されている制度の一覧が公開されました。
これらの制度は、「要介護2」以上の状態にある家族の介護で利用できます。
ここでは、5つの制度を簡単に紹介しましょう。
・「介護休業」
「介護休業」は、長めの休みを取るための制度です。
介護する家族1人につき、通算で93日まで、3回までに分けて休みが取れます。
例えば、倒れた家族が退院して、介護する環境が整うまではある程度の時間がかかります。
そういうときに「介護休業」を使うと良いでしょう。
・「介護休暇」
「介護休暇」は、もう少し短い休みを取る制度です。
例えば、状態が悪いときに半日休んだり、1日休んで病院に付き添ったりできます。
・「所定外労働の免除」
「所定外労働の免除」は、介護のために残業を免除する制度です。
1カ月以上1年以内を単位にして、何回でも取得できます。
・「時間外労働/深夜業の制限」
「時間外労働/深夜業の制限」は、残業や深夜の仕事を免除する制度です。
ここでいう「深夜」は、午後10時から午前5時を指します。
・「選択的措置義務」
最後の「選択的措置義務」は、短時間勤務やフレックスタイムなどの利用を会社に求める制度です。
このような勤め方ができると、定時で働くよりも、介護に時間が使いやすくなります。
介護認定の前でも条件を満たせば使える
紹介した制度のいくつかは、家族が「要介護状態」にあることが条件になっています。
ここで言う「要介護状態」は、基本的には介護保険の「要介護2」以上を指します。
しかし、介護認定を受ける前に休暇が必要な場合があります。
その場合は下の表にある条件に合致していれば「要介護状態」として認められます。
これを利用すると、介護認定のための訪問調査に立ち会うときなど、要介護度が確定する前でも休みを取ることができます。
仕事を離れてしまうと復帰は難しい
ここまで見てきたように、介護と仕事を両立するための制度は、それなりに用意されています。
しかし、「会社に迷惑をかけたくない」「家族の状態を知られたくない」などの理由で、これらの制度を利用せずに、いきなり離職をしてしまう例が少なくありません。
ですが、介護にはいつか終わりがあります。
介護が終わってから、同じ会社に復帰できる可能性は高くありません。
また、正社員に戻れず、収入が大きく減ってしまうことも珍しくありません。
せっかく用意されている制度ですから、今の仕事を続けるために、積極的に利用してください。
直接の上司に話しにくい場合は、制度を良く知っている総務や人事の部門に相談することから始めましょう。