今年は外食産業の4割が値上げを実施。「洋食」や「居酒屋」などは客足が戻らず
外食産業の動向調査
調査会社の帝国データバンクが、「外食主要100社の値上げ動向」のレポートを公開しています。
このレポートは、2023年10月時点の外食産業の動向をまとめたものです。
2023年に値上げした企業は4割
外食産業100社のうち、2023年に値上げを行ったか、年内に行なう予定なのは「42社」でした。
2022年には「58社」が値上げをしたので、今年はかなり減っています。
なお、今年値上げをした42社のうち、37社は2022年に続いて2年連続で値上げをしています。
値上げは低価格のチェーンが中心
値上げを行なった企業は、牛丼やハンバーガー、うどんなど、単価が安い「低価格チェーン」が中心でした。
値上げの理由は、「食肉」「小麦粉」「原油」の高騰が挙がっています。
単価が安い分野では、これらの資材の高騰を吸収できず、値上げをせざるを得ないのです。
また、アルバイトなどの人件費の増加を挙げる企業もありました。
人手不足や最低賃金の引き上げなどによって、人件費の高騰は避けられない情勢にあり、人手を必要とする外食産業への影響は避けられません。
値上げをすると客足が減ってしまう
しかし、外食産業においては、簡単に「値上げ」はできません。
なぜなら、値上げは客数に影響してしまうからです。
2022年に値上げした企業のうち、2023年の9カ月間すべてで前年の客数を上回ったのは4割に届きませんでした。
一方、2022年に値上げしなかった企業では、8割以上が前年の客数を上回りました。
つまり、値上げをすると、お客さんが大幅に減ってしまうのです。
2022年の値上げが、今年の客足に影響したことで、再度の値上げを思いとどまった企業も少なくないでしょう。
「洋食」や「居酒屋」などは客足が戻らない
最後に、分野別の動向を見てみましょう。
総務省の「家計調査」によれば、2023年の外食への支出額は、新型コロナウイルス感染症が流行する前の水準に戻っています。
しかし、分野別に見ると、回復状況には大きな差があります。
ハンバーガーや喫茶店、ラーメンなどはコロナ前を上回っていますが、居酒屋などの酒類の消費は大幅に落ち込んでいます。
新型コロナの影響は終わったように見えますが、分野による差が大きく、完全な回復には程遠い状況なのです。
新型コロナが一段落したことで、低価格で軽い飲食はするようになりました。
しかし、夜間に長時間滞在する「洋食」や「居酒屋」などの分野は、まだ敬遠されていると見て良いでしょう。
多くの人が、安心してディナーや飲酒を楽しむ気分になるのは、もう少し先のことになりそうです。