焼肉店の倒産が急増。「牛タン」「牛肩ロース」の原価が1.4倍に値上がり
[2023/9/12 00:00]
焼肉店の倒産が増加
焼肉店の倒産が急増しています。
調査会社の帝国データバンクによれば、2023年1月から8月の期間に、倒産した焼肉店は「16件」でした。
これは、昨年の6件を大幅に上回り、新型コロナの流行で倒産が多かった2020年の16件に並びました。
コロナ禍の勝ち組だった焼肉店
新型コロナ禍の飲食業界では、焼肉店は「勝ち組」とされてきました。
まず、コロナ禍の外出制限でニーズが高まった外食への「プレミア感」の受け皿となりました。
そして、「一人焼き肉」など新たなスタイルもヒットしました。
さらに、テーブルごとに吸気ダクトが備えられた店内設備が「換気がいい=三密回避」のイメージが定着して人気を高めました。
もともと、他の飲食店と比べて客単価が高く、コロナ禍の「勝ち組」として出店が続きました。
コロナ禍に苦しむ居酒屋やラーメンチェーンなどの異業種からも、「焼肉店」への参入も続きました
「牛タン」などの値上がりが直撃
しかし、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとして、事態は暗転します。
まず、輸送コストの増加や円安の影響により、安価なアメリカやオーストラリアなどの輸入牛肉価格が高騰しました。
主力である「牛タン」や「牛肩ロース」の原価は1.4倍に値上がりしています。
さらに、電気/ガスなどの料金、アルバイトなどの人件費なども上昇しました。
一方、大幅なメニューの値上げは難しいため、経営状態は苦しく、倒産に至る店舗が増えているのです。
コロナ禍では、我が世の春を謳歌した「焼肉店」も、今後は厳しい競争を強いられることになるでしょう。