特殊詐欺の電話番号で「国際電話番号」が急増。折返しの通話料を狙う「国際ワン切り詐欺」に注意
特殊詐欺に使われる電話回線についてのレポート
セキュリティ会社のトビラシステムズが、「特殊詐欺に関するレポート」を公開しています。
トビラシステムズは、迷惑電話対策を手掛けており、電話回線や特殊詐欺に対するノウハウを持っています。
「050IP電話」から「国際電話」へ
迷惑電話に使われる電話回線では、大きな変化が起きています。
かつて、迷惑電話で使われるのは「固定電話番号」が中心でした。
しかし、2022年夏ごろから、「050IP電話番号」が増えました。
「050IP電話番号」は、本人確認の手続きなしに導入できたため、手に入れやすかったのです。
しかし、2023年6月には、その対策として政府が本人確認の義務化を発表しました。
電話番号を手に入れるためには、マイナンバーカードなどが必要となったのです。
「050IP電話番号」の変わりに増えているのが「国際電話番号」です。
つまり、海外の拠点から、直接電話をかけてくる例が増えているのです。
すでに迷惑電話の3割以上は「国際電話番号」からかかってきています。
ただのワン切りと思ったら「国際ワン切り詐欺」だった
国際電話番号を使った特殊詐欺の例を1つ紹介しましょう。
一番分かりやすいのは「国際ワン切り詐欺」です。
まず、犯人グループが「国際電話番号」を使ってワン切り電話を無作為に行ないます。
「ワン切り電話」とは、電話がつながったらワンコールで切る行為です。
これを受けた人が、「再ダイヤル」や「着信履歴」などの機能を使って折り返し電話をすると、国際電話がかかってしまいます。
そして、高額な国際電話の通話料が請求されてきます。
この通話料の一部が、通信会社から犯罪グループに支払われます。
1件1件の金額は少なくても、多数のワン切りを機械的に行なうことで収益を得ているのです。
そして、犯人グループが儲けるためには、できるだけ長く国際電話を掛けさせる必要があります。
そのため、「おめでとうございます。あなたに高額の宝くじが当たりました。これからお申し込みいただくためのアンケートを行ないますから、プッシュボタンで回答してください」などの自動音声によるメッセージを流し、通話を引き伸ばします。
もちろん、宝くじの話は電話を引き伸ばすためのウソです。
見に覚えのない国際電話には出ない、折返しもしない
特殊詐欺被害を防ぐためには、身に覚えのない国際電話着信には出ないでください。
また、着信履歴に電話番号が残っていた場合も、折り返し電話をかけないようにしてください。
なお、ビジネスホンや高齢者向け固定電話では、「050IP電話番号」や「国際電話番号」からの受信を断ったり、それらの番号に発信できないように制限する機能が用意されています。
それらの電話が設置されている場合は、取扱説明書などで確認してください。
また、企業に向けて、特殊詐欺などの迷惑電話を自動でブロックする迷惑電話対策サービスを提供する会社もあります。
電話が設置されている場所に応じて、万一のための備えを準備してください。