公的年金の運用、第2四半期は「6,832億円」の赤字。国内外で債券価格が下落
3カ月で「6,832億円」の赤字
年金積立金管理運用 独立行政法人(GPIF)による年金積立金の運用が、2023年7月から9月の第2四半期において「6,832億円」の赤字となりました。
1つ前の四半期は18兆9千億円の黒字でしたが、経済環境の急変によって、赤字に転じました。
年金積立金は、将来の公的年金の支払いに備えて積み立てられているもので、GPIFが投資の管理を行なっています。
赤字の金額は大きく見えますが、GPIFが運用している資金は219兆円を超えるため、赤字の割合は「-0.31%」に留まっています。
「国内株式」だけが黒字
GPIFによる投資は、「国内株式」「海外株式」「国内債券」「外国債券」の4つの分野で行なわれています。
この四半期では、「国内株式」が黒字でしたが、その他の3つの分野で赤字となりました。
特に、長期金利の上昇の影響を受けて債券の価格が下落しました。
国内債券だけでも、赤字が1兆円を超えています。
短期的には赤字でも、「長期」と「分散」でカバー
GPIFは、数十年単位の「長期」を想定して投資を行なっています。
過去22年間の投資は126兆円の黒字であり、四半期単位の赤字について、極端に悲観する必要はありません。
「長期」の投資は、多少の変動は吸収してしまうのです。
また、GPIFは4つの分野に「分散」して投資したことで、他の分野の赤字を「国内株式」の黒字である程度は取り戻すことができました。
投資において「長期」と「分散」という方針が有効であることは、個人が投資を行なう場合にも応用すべきでしょう。
なお、一般には「株式」よりもリスクが小さいと言われる「債券」の投資でも、経済状況によっては大幅な赤字になるということも覚えておいても良いでしょう。
今回のGPIFの赤字は、投資の分野において、「元本保証」や「絶対安全」な方法はないことを教えているのです。