「成人の日」がなんとなくスッキリしない祝日になった理由
今年の成人の日は「1月8日」
今年の「成人の日」は、1月8日です。
「成人の日」については、“自分の子供の頃とは違っていて、なんとなくスッキリしない”という感想を抱いている人も多いでしょう。
この記事では、「成人の日」がどう変わって来たのか、そして今はどうなっているのかを紹介します。
1948年に「成人の日」が制定される
そもそも「成人の日」とは、どんな祝日だったのでしょうか。
「成人の日」が祝日になったのは、1948年ですから、もう76歳になります。
このときに、「成人の日」は「1月15日」と定められました。
その意義は、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日とされています。
そして、多くの市区町村では、その年に20歳になった新成人を祝うための行事である「成人式」が、「成人の日」に行なわれるようになりました。
毎年日取りが変わる休日に変化
しかし、「成人の日」は2000年に大きく変わりました。
この年から施行された「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」によって、成人の日の日取りが変わったのです。
現在、成人の日は「1月の第2月曜日」とされているため、毎年日取りが変わります。
例えば、2024年は「1月8日」ですが、2025年は「1月13日」となります。
同じように月曜日に設定されている休日には、「スポーツの日(旧:体育の日)」「敬老の日」「海の日」があります。
このようになった理由は、「連休化により余暇活動を一層充実させ、ゆとりある国民生活の実現に資するため」とされています。
つまり、一部の祝日から“その日でなければならない”という記念日としての性格が失われて、単に連休を増やすための休日として扱われるようになってしまったのです。
この一連の改革を「ハッピーマンデー制度」と呼びます。
成人年齢が引き下げられる
2022年に、もう一つ、大きな変化が「成人の日」に訪れます。
2022年4月1日からは、成人の定義が「18歳」になりました。
例えば、「選挙での投票」や「結婚」「養子縁組」などが18歳から可能となりました。
ここで困ったのが「成人の日」です。
「成人」という定義からすれば、対象を18歳に変えるべきですが、すでに20歳を祝う行事として定着しています。
そこで「成人式」ではなく「はたちのつどい」と称して、20歳を対象に開催する自治体が多くなりました。
例えば、東京都千代田区では『二十歳という人生の大きな節目を皆で祝福し、責任ある「おとな」としての自覚を認識していただく』ために、20歳を対象とした「二十歳のつどい」を成人の日に開催しています。
原点に戻って若い人に祝福を
「成人の日」が制定された当初は、「20歳で成人になった人を1月15日に祝う日」というシンプルな関係でした。
しかし、成人の日が「1月15日」という固定された祝日ではなくなり、「成人」と「20歳」の関係も壊れてしまったために、なんとなくスッキリしない祝日となってしまったのです。
しかも、「成人式」は「はたちのつどい」になりましたが、以前と同じ「成人の日」に行なわれるため、ますますモヤモヤした印象がつきまといます。
「成人の日」は、「ハッピーマンデー制度」と「成人の定義の変化」という2つの波を受けて、当初の意義が大きく失われてしまった、かわいそうな祝日なのです。
せめて、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」という意義を思い出し、身の回りにいる若い人を祝ってあげましょう。