2024年に賃金の値上げを予定している会社が8割を超える。ただし、中小企業は「賃上げできそうにない」も少なくない
総理は「昨年以上」と言うけれど
岸田文雄 内閣総理大臣は、2024年の年頭所感において賃金の値上げを呼びかけました。
具体的には、『経済界には、今年の春闘で「昨年を上回る賃上げ」をお願いし、賃上げ促進税制を中小企業にも使いやすい形で強化します。』としています。
では、賃金の値上げが実現する可能性は、どれぐらいの確率なのでしょうか。
調査会社の東京商工リサーチのレポートをもとに紹介します。
なお、この調査でいう「賃上げ」は、「定期昇給」「ベースアップ」「賞与の増額」「初任給の増額」「再雇用者の賃金増額」を意味しています。
8割以上の企業が「賃上げ」を予定している
賃上げについてのインターネット調査は、2023年12月に行なわれ、4,581社が回答しました。
2024年に賃上げの実施を予定している企業は「82.9%」で、8割を超えました。
「賃上げできそうにない」という回答は「17.0%」に留まっています。
ただし、賃上げが昨年を上回る可能性は高くありません。
「2023年と同じ程度になりそう」が「51.5%」で半分を占めています。
「2023年を超えそう」という企業は「11.6%」で、1割しかありません。
「賃上げの可能性は高いが、昨年並みに留まりそう」というのが、今回の調査の結果です。
会社の規模や業種によっては上がらない可能性も
年の初めから「今年は給料が増えるかもしれない」という景気の話になりました。
しかし、すべての人が恩恵を受けられるわけではありません。
例えば、「賃上げできそうにない」という企業は、資本金1億円以上の大企業では「9.27%」ですが、資本金1億円未満の中小企業では「17.93%」と、2倍近くに増えます。
また、テレビ番組の制作や出版などの「映像・音声・文字情報制作業」では6割以上、「飲食店」や「広告業」などでも5割以上が「賃上げできそうにない」と答えています。
つまり、企業の大きさや業種によっては、給料が上がるとは限りません。
あまり期待しすぎないようにして、賃上げが行なわれる4月まで、会社からの通知に注意してください。