元サラリーマンが受け取っている年金は、月に「14万4,982円」。神奈川では「16万4千円」、青森では「12万2千円」の大差

[2024/1/5 00:00]
青は年金の月額が15万円を超える県、赤は13万円を切る県 出典:厚労省のデータを元に編集部が作成

元サラリーマンの年金は月に「14万4千円」

現役時代に会社員だった元サラリーマンが受け取っている老齢厚生年金は、平均で月に14万4千円です。

しかし、老齢厚生年金は現役時代の給与が年金の金額に反映されるため、個人の職歴や地域によって大きな差があります。

この記事では、厚労省による都道府県別のデータをもとに、老齢厚生年金の地域差について紹介します。

年金の月額は県によって4万円以上も差がある

2023年度のデータによれば、老齢厚生年金の全国平均は月額で「14万4,982円」でした。

ちょっと少なく感じるかもしれませんが、働いた期間が短い人も含むので、これぐらいの金額になっています。

この金額が、もっとも大きいのは「神奈川県」で、「16万4,088円」になります。

全国平均に比べると、2万円ぐらい多く受け取っていることになります。

逆に、金額が小さいのは「青森県」では「12万2,134円」でした。

全国平均に比べて2万円以上、神奈川県と比べると4万円以上も差があります。

現在の給与が将来の年金の金額を決める

老齢厚生年金の金額は、現役時代に年金保険料を納めた期間と、毎月の給与とボーナスを反映した「標準報酬月額」の2つの要素で決まります。

簡単に言えば、高い報酬で長い期間働くと、受け取れる年金の金額が大きくなります。

年金の金額が15万円を超える8つの県を見ると、首都をはじめとする三大都市圏が中心です。

厚生年金の金額が13万円を切る県は13県あり、東北、中国、四国、九州が中心です。

これを、厚労省による2022年の平均賃金のデータと比べると、全体の傾向が似ていることが分かります。

例えば、男女の平均賃金が300万円を超える県と、年金の月額が15万円を超える県は、だいたい重なります。

一方、男女の平均賃金が270万円を切る県と、年金の月額が13万円を切る県も、だいたい重なっています。

なお、2022年の賃金の全国平均は「311万8千円」でした。

毎月の給与やボーナスは、現在の生活を支えるだけではなく、将来の年金にも反映されることを覚えておきましょう。

青は平均賃金が300万円を超える県、赤は270万円を切る県 出典:厚労省のデータを元に編集部が作成

どこで働き、どこで老後を過ごすかを考える

今回のデータでは、現役時代の給与が高ければ、将来の年金の金額も大きくなることが分かりました。

ただし、年金の金額が大きい地域が、老後の生活が楽であるかと言えば、かならずしもそうは言えません。

なぜなら、現役時代の給与が高い地域は、生活費も高いことが多いからです。

例えば、賃貸住宅の家賃を払い続けることを考えると、東京都や神奈川県では、それなりに高い金額になってしまいます。

つまり、年金の金額は重要な要素ですが、それだけでは生活の質は分かりません。

それでも、将来の人生設計を考えるときには、自分の働き方、つまりキャリアをどこで積むのかということと、定年後の人生をどこで過ごすのかという、2つのポイントは押さえておきましょう。

データ:老齢厚生年金の平均月額が15万円を超える県

  • 神奈川 164,088円
  • 千葉 158,918円
  • 東京 157,478円
  • 奈良 156,630円
  • 埼玉 155,412円
  • 愛知 154,191円
  • 兵庫 153,197円
  • 大阪 150,477円

データ:老齢厚生年金の平均月額が13万円を切る県

  • 青森 122,134円
  • 秋田 123,060円
  • 宮崎 123,237円
  • 沖縄 123,459円
  • 山形 124,586円
  • 高知 126,353円
  • 岩手 126,451円
  • 熊本 126,583円
  • 鹿児島 127,243円
  • 鳥取 127,492円
  • 島根 127,668円
  • 徳島 127,933円
  • 佐賀 128,083円
[シニアガイド編集部]