元サラリーマンが受け取っている年金は、月に「14万4,982円」。神奈川では「16万4千円」、青森では「12万2千円」の大差
元サラリーマンの年金は月に「14万4千円」
現役時代に会社員だった元サラリーマンが受け取っている老齢厚生年金は、平均で月に14万4千円です。
しかし、老齢厚生年金は現役時代の給与が年金の金額に反映されるため、個人の職歴や地域によって大きな差があります。
この記事では、厚労省による都道府県別のデータをもとに、老齢厚生年金の地域差について紹介します。
年金の月額は県によって4万円以上も差がある
2023年度のデータによれば、老齢厚生年金の全国平均は月額で「14万4,982円」でした。
ちょっと少なく感じるかもしれませんが、働いた期間が短い人も含むので、これぐらいの金額になっています。
この金額が、もっとも大きいのは「神奈川県」で、「16万4,088円」になります。
全国平均に比べると、2万円ぐらい多く受け取っていることになります。
逆に、金額が小さいのは「青森県」では「12万2,134円」でした。
全国平均に比べて2万円以上、神奈川県と比べると4万円以上も差があります。
現在の給与が将来の年金の金額を決める
老齢厚生年金の金額は、現役時代に年金保険料を納めた期間と、毎月の給与とボーナスを反映した「標準報酬月額」の2つの要素で決まります。
簡単に言えば、高い報酬で長い期間働くと、受け取れる年金の金額が大きくなります。
年金の金額が15万円を超える8つの県を見ると、首都をはじめとする三大都市圏が中心です。
厚生年金の金額が13万円を切る県は13県あり、東北、中国、四国、九州が中心です。
これを、厚労省による2022年の平均賃金のデータと比べると、全体の傾向が似ていることが分かります。
例えば、男女の平均賃金が300万円を超える県と、年金の月額が15万円を超える県は、だいたい重なります。
一方、男女の平均賃金が270万円を切る県と、年金の月額が13万円を切る県も、だいたい重なっています。
なお、2022年の賃金の全国平均は「311万8千円」でした。
毎月の給与やボーナスは、現在の生活を支えるだけではなく、将来の年金にも反映されることを覚えておきましょう。
どこで働き、どこで老後を過ごすかを考える
今回のデータでは、現役時代の給与が高ければ、将来の年金の金額も大きくなることが分かりました。
ただし、年金の金額が大きい地域が、老後の生活が楽であるかと言えば、かならずしもそうは言えません。
なぜなら、現役時代の給与が高い地域は、生活費も高いことが多いからです。
例えば、賃貸住宅の家賃を払い続けることを考えると、東京都や神奈川県では、それなりに高い金額になってしまいます。
つまり、年金の金額は重要な要素ですが、それだけでは生活の質は分かりません。
それでも、将来の人生設計を考えるときには、自分の働き方、つまりキャリアをどこで積むのかということと、定年後の人生をどこで過ごすのかという、2つのポイントは押さえておきましょう。
データ:老齢厚生年金の平均月額が15万円を超える県
- 神奈川 164,088円
- 千葉 158,918円
- 東京 157,478円
- 奈良 156,630円
- 埼玉 155,412円
- 愛知 154,191円
- 兵庫 153,197円
- 大阪 150,477円
データ:老齢厚生年金の平均月額が13万円を切る県
- 青森 122,134円
- 秋田 123,060円
- 宮崎 123,237円
- 沖縄 123,459円
- 山形 124,586円
- 高知 126,353円
- 岩手 126,451円
- 熊本 126,583円
- 鹿児島 127,243円
- 鳥取 127,492円
- 島根 127,668円
- 徳島 127,933円
- 佐賀 128,083円