「障害者手帳」を持っているか「遺族年金」を受けていれば、利息にかかる税金をゼロにできる「マル優」制度
利息への税金もゼロにする方法がある
株式売買で得た運用益にかかる税金がゼロになる「NISA」が新制度になって注目を集めています。
あまり注目されていませんが、銀行の預金や個人向け国債などについても、その利息にかかる税金がゼロになる制度が用意されています。
それが「マル優」制度です。
ただし、これは誰にでも使えるというものではありません。
具体的には、障害者手帳が交付されていたり、遺族年金を受け取っているなど、一定の資格を持った人に対して、利息にかかる税金を免除するものです。
この記事では、「マル優」の対象者と、その利点について紹介します。
利息への税金は20%を超える
銀行預金や国債、公社債などによる利息には、所得税と地方税がかかります。
所得税の利率は復興特別所得税と合わせると「15.315%」、地方税が「5%」です。
つまり、もともと低金利時代で少ない利息から、さらに20%以上も税金が取られてしまうのです。
これらの税金は源泉徴収されているので、普段は意識されていませんが、なかなかの重税と言えるでしょう。
「マル優」を使える人は制限されている
「マル優」は、正式には「障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度」と言います。
「マル優」を利用すると、預貯金の元本350万円までの利子が非課税になります。
そして、利用できる人は下のように限られています。
- 障害者手帳の交付を受けている人
- 障害年金を受けている人
- 遺族基礎年金を受けている妻
- 寡婦年金を受けている人
- 母子年金を受けている人
「個人向け国債」なら「特別マル優」も使える
さらに、「特別マル優」という制度があります。
こちらは、預貯金ではなく、国債と地方債の額面350万円までの利子が非課税になります。
つまり、「マル優」と「特別マル優」を使えば、預金で350万円、個人向け国債で350万円、両方合わせて700万円までの利息に税金がかからなくなります。
申し込みは銀行の窓口へ
「マル優」や「特別マル優」を利用するためには、一定の書類が必要となります。
最初に、「非課税貯蓄申告書」という書類を金融機関を経由して税務署に提出する必要があります。
また、お金の預け入れや債券の買い入れごとに書類の提出が必要となります。
つまり、実用的には普通預金ではなく、定期預金や個人向け国債に向いた制度であることが分かります。
以上のような理由で、身体障害者手帳や年金証書、個人番号カード等の確認書類を持って、銀行の窓口で手続きをする必要があります。
なお、最近では新たに口座を開きたいと言っても「ネットで行なってください」としか言われません。
「店頭窓口でのマル優の手続き」である旨を伝えて、相談窓口のインターネット予約をすることを強くおすすめします。
さらに余談ですが、1987年までは「マル優」制度には資格制限がなく、すべての人が対象となっていました。
高齢の家族に相談すると、当時の知識しかなく、混乱を招くことがあるので注意してください。
下手をすると、「その制度は、とっくに廃止になっているはずだ」と断言されてしまうことさえあります。
利用できる人が限定されただけで、現行の制度ですから、安心して手続きしてください。