年金だけで暮らす60歳以上の無職世帯は毎月4~5万円の赤字
無職の高齢世帯は毎月赤字
「60歳以上で無職の単身世帯の家計は毎月4万円以上、同じく無職の夫婦世帯では毎月5万円以上の赤字」というデータが、総務省から公開されています。
この世代の主な収入源である、年金などの「社会保障費」だけでは、すでに暮らせないという実態がわかりやすく示されたデータと言えるでしょう。
これは、総務省統計局が公開している「家計調査 平成29年(2017年)平均速報結果」によるもので、す。
単身世帯は毎月4万円の赤字
この調査では、60歳以上を高齢者として分類しています。
まず、一人暮らしの高齢単身無職世帯から見てみましょう。
収入は「114,027円」です。このうち9割以上は「社会保障給付」つまり「年金」です。
支出は、税金などの「非消費支出」が12,544円、生活費などの「消費支出」が142,198円で、合計は「154,742円」です。
支出の方が多いので、「40,715円」の赤字が出ています。
単身世帯の赤字幅は、ここ数年大きくなっています。
夫婦世帯は毎月5万4千円の赤字
次に、高齢夫婦無職世帯を見てみましょう。
収入は「209,198円」です。やはり、9割以上が「年金」です。
支出の合計は「263,717円」です。
赤字は「54,519円」で、単身世帯よりも1万円以上増えています。
夫婦の方が年金が多く、暮らしやすそうに見えるのですが、単身世帯よりも赤字が大きいことは覚えておいて良いでしょう。
勤労者世帯は、月3万4千円の黒字
次に、勤労者世帯のうち、世帯主が60歳以上の家計を見てみましょう。
実収入は「410,799円」です。年金だよりの無職世帯に比べて、かなり多いのが特徴です。
支出も増えており、合計が「376,119円」です。
しかし収入が多いので、「34,680円」の黒字が出ています
働き続けるか、赤字を支える貯金が必要
もう一度、整理してみましょう。
60歳以上で単身の世帯は、収入が11万4千円で、4万円の赤字です。
60歳以上で夫婦の世帯は、収入が20万9千円で、5万4千円の赤字です。
一方、同じ60歳以上でも、働いている世帯は、収入が40万円で、3万4千円の黒字です。
つまり、『家計を黒字で維持していくためには、60歳を過ぎても働き続けることが有効』であることが分かります。
幸い、会社員の場合、65歳までは働き続けられる環境が整いつつあるので、できるだけ長く働くべきでしょう。
そうでない場合は、毎月の赤字を支えるために、老後の生活に向けて、貯金などの資産が必要となります。
例えば、単身世帯で赤字を埋めるためには1年で48万8千円、10年で488万円が必要となります。
夫婦の世帯ならば、1年に65万4千円、10年に654万円です。
もちろん、これは平均値で、老後の家計の状態は、人それぞれで異なります
それでも、目指すべき資産に向けての、1つの目安になるでしょう。
【お知らせ】この記事は2018年2月26日にデータを更新しました。