定年退職した親は、健康保険の被扶養者にしよう

[2016/1/9 00:00]

定年退職後の健康保険を選ぶ

サラリーマンだった人が定年退職をして、協会けんぽや組合健保などの被用者保険を抜けたときには、次の3つのいずれかを選ぶ必要があります。

  1. 加入していた被用者保険を任意継続する
  2. 国民健康保険に加入する
  3. ご家族の健康保険(協会けんぽ、組合健保)の被扶養者になる

この中で、金銭的な負担が一番軽いのは(3)です。つまり、家族の健康保険の扶養に入り「被扶養者」となることです。

これにできれば、退職者本人や配偶者は、健康保険料を払う必要がありません。また、誰かの扶養に入ることによって、その人の健康保険料が上がることもありません。

もちろん、被扶養者になるためには、一定の条件を満たす必要があります。

今回は、その条件を、くわしく見てみましょう。

これを知っておくと、たとえば親族の誰かを、自分の被扶養者にできるかどうか判断できるようになります。

被扶養者になるための3つの条件

家族を被扶養者にするためには、次の3つの条件があります。

  1. 3親等以内の親族である
  2. 同居が必要な場合は、同居している
  3. 被扶養者の収入が規定よりも低い

(1)から見ていきましょう。3親等以内の親族の範囲については下の図をご覧ください。たぶん、想像していた以上に広い範囲でしょう。

配偶者は内縁関係であってもかまいませんので、「内縁関係の配偶者の父母および子」も含まれます。

3親等以内の親族の範囲。水色の部分は、別居していても良い範囲 出典:協会けんぽ

(2)「配偶者」「子、孫」「弟妹」「父母、祖父母などの直系尊属」は別居していてもかまいません。それ以外の親族は、同居しており、同じ世帯である必要があります。さきほどの図で水色で塗った部分は別居していて良い範囲です。

(3)被扶養者は、年間収入が130万円未満に制限されます。ただし、60歳以上または障害者の場合は、年間収入が180万円未満となります。この収入には年金や失業保険も含まれます。

さらに、同居の場合は収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満、別居の場合は収入が扶養者からの仕送り額未満という制限があります。

つまり、単純に金額で決まるわけではなく、被扶養者の生活を扶養者が支えているという事実が必要となります。

自分の親の場合は年金額を確認する

では、自分の父親が退職したとして、被扶養者にできるかどうか検討してみましょう。

父親は1親等の親族ですし、直系尊属ですから、同居していても別居していても問題ありません。

問題は年収でしょう。

年収が180万円ということは、月額に直すと15万円です。

月に支給されている年金の実績は、国民年金で5万5千円、厚生年金で14万7千円です。

父親が元サラリーマンで、厚生年金を受給している場合は、被扶養者にできるかどうか微妙なところです。厚生年金の支給額は、現役時代の収入によって変わるので人によって異なります。必ず、本人の年金額を確認しましょう。

条件に問題がなけば、会社に「健康保険 被扶養者(異動)届という書類を提出して手続きをします。

なお、年収の証明については、所得税の扶養親族にするという申請が同時に出ていれば、原則として必要ありません。

ただし、退職したことを証明する「退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写し」や、現在の年金額が分かる「年金額の改定通知書などの写し」などの書類が必要となることもあります。

さらに、被扶養者になった日から日数が経っていると、必要な書類が増えることがありますから、早めに手続きしましょう。

後期高齢者医療制度の被保険者は被扶養者になれない

最後に3つ、注意事項を書いておきます。

まず、75歳以上で後期高齢者医療制度の被保険者になっている場合は、被扶養者になれません。

次に、健康保険では「遺族年金」も収入とみなします。所得税を計算するときは、遺族年金は収入とみなさないので間違えやすくなっています。年収を計算する際は注意してください。

最後に、今回は一般的な「協会けんぽ」に沿って説明しましたが、「組合健保」の場合は組合ごとに規定が異なる場合があります。

まず、会社の総務部門に「新たに親族を扶養することになったので、必要な手続きをしたい」と相談することから始めましょう。

[シニアガイド編集部]