65歳以上の人が感じている「不安」とその解消法
「不安」の内容は年齢や性別で変わる
同じシニアと言っても、現役世代と定年退職後の世代では、生活環境が変わります。
生きていく上での「不安」や「悩み」の内容も、年齢や性別によって大きな差があります。
厚労省が2014年に公開した「健康意識に関する調査」の中に、「不安」に関する面白い項目を見つけたので紹介します。
この調査は回答数が多く、しかも全国に均等に割り振られているので、一定の信頼性があります。
なお、グラフは調査結果を基に編集部で作成しました。回答の選択肢が多い問では、上位の回答のみ掲載しています。
65歳以上は不安を感じにくい!?
「不安や悩みを感じることがありますか」という問に、年齢や性別を問わず、半数以上の人が「ときどき感じる」と答えています。
しかし、「いつも感じる」という回答は、「65歳以上」になると少なくなり、「あまり感じない」が増えます。
65歳以上の悩みは「健康と病気」
「不安や悩みの内容をいくつでも挙げてください」という問への回答は、年代による差が良く出てます。
「40~64歳」では「収入・家計・借金」や「生きがい・将来」「職場の人付き合い」「仕事上のこと」などが多くなっています。特に、この世代の男性は、仕事がらみの悩みが深いことがうかがえます。
「65歳以上」では「自分の健康や病気」が主な悩みとなり、「収入・家計・借金」や「家族関係」が続きます。
悩みの対策は人それぞれ
「不安や悩みがあったときにどうしていますか」という問への、答えは「のんびりする」が多く挙げられています。
しかし、女性に限れば、人と話したり話を聞いてもらう「おしゃべり」が一番多くなります。また、「買い物」も女性に多い解消法です。
逆に男性に多いのが「趣味・スポーツ」と「酒」でした。
年代別では「テレビ・ラジオを見る」「自分で積極的に解決する」という回答が「65歳以上」では増えます。
また、「40~64歳」で多い「寝る」が、「65歳以上」では減っています。この年代は睡眠が浅くなりがちなのと関係があるのかもしれません。
相談相手は男女の違いが大きい
「不安や悩みを誰に相談していますか」という問いには、65歳以上の男性は「配偶者」を挙げています。
しかし、女性は「友人・知人」を選んだ人の方が多くなっています。
また、「40~64歳」の男性は「相談相手がいない」が1位です。
つまり、現役時代は妻にも相談せずにいた男性は、退職後は妻を相談相手として頼りにするようになりますが、すでに女性は夫よりも友人・知人を相談相手とするようになっている、という図式です。
ちなみに、65歳以上の女性は「配偶者以外の家族」も相談相手としています。子供世代との会話が多いことがうかがえます。
自分なりの不安解消法を早めに見つけよう
調査結果を見ると、年齢や性別は違っても、不安や悩みは尽きないことがわかります。
特に65歳以上では「自分の健康や病気」が一番の悩みのタネとなります。また、「収入・家計・借金」などの金銭的な不安もあります。
また、男性の場合は、現役時代に負担となっていた職場から離れることで負荷が軽くなったものの、退職後はコミュニケーションを取る相手が配偶者に限られる傾向が感じられます。
配偶者以外との「おしゃべり」という選択肢がない分、自分なりに不安や悩みを解決する方法を探しておきましょう。