日本仏教会が、Amazonに対して「お坊さん便」の販売中止を求める文書を送付
「お坊さん便」批判の第二弾
日本仏教会は、3月4日付でAmazonおよびAmazon日本支社に対して、「お坊さん便」の販売中止を要請する文書を送付したと発表しました。
送付した文書も公開しており、Amazon本社には英訳を送付したとしています。
公開された文書では、次のように宗教行為の商品化に反対し、お坊さん便の販売中止を求めています。
私どもは、先ずもって、このように僧侶の宗教行為を定額の商品として販売することに大いなる疑問を感じるものであります。およそ世界の宗教事情に鑑みても、宗教行為を商品として販売することを許している国はないのではないでしょうか。
そもそも、私どもは「お布施」を定額表示することに一貫して反対してきました。それは、「お布施」は僧侶の宗教行為に対する対価ではないからであり、定額にすることによって「お布施」本来の宗教性を損なうからであります。同じように「戒名」「法名」も商品ではないのです。
つきましては、貴社におかれましては上記のことをご配慮いただき「Amazonのお坊さん便僧侶手配サービス」の販売を中止されるよう、お願いするものであります。
日本仏教会は、2015年12月に理事長談話として、お坊さん便を批判する文書を公開していましたが、今回は販売中止を要請する文書を直接Amazonに送付するという直接的な行動に出ており、販売中止に向けた強い意思が感じられます。
販売中止を要請した「公益財団法人 全日本仏教会」は、『日本の伝統ある宗教団体の中でも有力な59宗派・36都道府県仏教会・10各種団体からなる、およそ全国75,000カ寺を擁する唯一の連合体であり、組織率は全国寺院の9割』と称す、日本の仏教界を代表する団体です。
今回は全日本仏教会の理事会において協議の上で文書を送付しており、いわば仏教界の総意を表した形となっています。
今後も、「お坊さん便」をはじめとする僧侶派遣や、インターネット経由の戒名授与などの、料金を明示した宗教活動への批判を強めていくことが予想されます。
仏教界への批判にも配慮
一方で、「この問題の背景には巨額のお布施を当然のように求める寺院の存在がある」という批判にも配慮して、次のような言葉が入っています。
しかしながら、その布施の精神をないがしろにするような法外な「お布施」を請求するなどの事実があり、慚愧の念に堪えないところであります。また、悩み苦しんでいる方々に本当に寄り添えているのか、僧侶としてのあり方を足下から見つめ直し、信頼と安心を回復していかなければなりません。
また、リリースでは現状に対する改善策として『伝統仏教界が広く社会の期待に応えていく態勢を作るため「法務執行相談に関する協議会(仮称)」を設置することになりました』と書かれています。