90%以上の病院や福祉施設では、入院入所時に「身元保証人」が必要
入院時に必要な「身元保証人」についての調査結果
病院に入院するときや、老人ホームなどの施設に入所する際に、「身元保証人」を求められることがあります。
では、実際に病院や福祉施設のうち何割ぐらいが、身元保証人を求めているのでしょう。
司法書士が会員となっている公益社団法人「成年後見センター・リーガルサポート」が2015年1月に発表した調査結果から見てみましょう。
この調査は全国の病院と福祉施設を対象にして行なわれ、603施設から回答を得ています。
なお、図版類の出典も、成年後見センターが作成したレポートです。
90%以上の施設で「身元保証人」が必要とされる
入院や入所の際に「身元保証人」などの名称で、保証人を求めている施設は、病院と福祉施設のいずれも90%を超えています。
法律によって、身元保証人が求められているわけではありませんが、実態としてはほとんどの施設で身元保証人が必要となることがわかります。
「身元保証人」の多くは親族
「身元保証人」になっている人は、「親族」が多く、「親族ではない専門職(司法書士、弁護士など)」、「知人・友人」が続きます。
「身元保証人」に求められるのは支払いと緊急時の連絡
「身元保証人」に求められる内容は「入院費・利用料金の支払い」、「緊急の連絡先」が多く、次に「入院計画書やケアプランへの同意」が続きます。
つまり、金銭的補償、連絡先の確保、医療行為などへの同意の3つが、「身元保証人」に求められる仕事と考えて良いでしょう。
実際に入院費などが請求されることもある
では、実際に「身元保証人」に返済が求められることがあるのでしょうか。
病院では70%以上、老人ホームなどの施設では40%以上が、債務の返済を請求したことがあると回答しています。
つまり、本人が入院費などの支払いができなかった場合には、高い確率で身元保証人は返済を求められることがあるのです。
なんらかの新しい制度が必要
調査を行なった成年後見センターでは、病院などが身元保証人を求める理由として、次の2つを挙げています。
- 入院費などの金銭の担保
- 医療同意や死亡時の適切な対応
そして、金銭の担保については「成年後見制度」で対応できるが、後見人が選ばれていることは極めて少なく、成年後見制度だけでは問題が解決しないとしています。
また、医療同意などについては、後見人の権限とされておらず、なんらかの新しい制度が必要ではないかとしています。