日本の「国民負担率」は右肩上がり、2015年は過去最高の44.4%
国全体の収入に対する税金と保険料の割合
「国民負担率」という数字があります。
これは、国全体の収入である「国民所得」に対して、税金や健康保険料などが、どれぐらいの比率になるのかという数字です。
この数字を見ると、政府や地方自治体などが、国民に対して、どれぐらいの負担を求めているかということがわかります。
近年、日本では国民負担率が高くなってきており、2015年には過去最高になっています。
グラフをもとにしながら、ここ数十年の変化を見てみましょう。
国民負担率は年々高くなっている
上のグラフは、1970年からの「国民負担率」の変化を表しています。
緑色の線で示したのが「租税負担率」で、国民所得に対する税金の割合です。
青い線で示したのが「社会保障負担率」で、健康保険料や年金保険料などの社会保障費の割合です。
赤い線で示した「国民負担率」は、この租税負担率と社会保障負担率の合計です。
ここしばらくの傾向を見ると、租税負担率はあまり上がっていませんが、社会保障負担率が右肩上がりで増えています。
したがって、2015年の国民負担率は「44.4%」に達しており、過去最高でした。
2016年は、多少下がる見込みになっていますが、2017年までは年金保険料値上げが続くので実績値が出るまでは油断できません。
日本の国民負担率は他国よりも高いのか
日本の国民負担率は、他の国に比べても高いのでしょうか。
経産省では、他の国と比べた資料を用意しています。
比較のために2013年の数字になりますが、日本はあまり高い方ではないことがわかります。
ただし、これは負担が少ないから良いというものではありません。
良く例に出されるのは北欧諸国で、国民負担率が高い代わりに福祉が充実しています。また、フランスも負担が重い方ですが、大学までの学費がほぼ無料となっています。
つまり、国民負担率が高くても充実した福祉を目指すのか、負担を軽くする代わりに福祉も低めで抑えるのかという判断は国によって異なります。その政府と国民が、増えた負担によって集められたお金を、何に使うかということが問われるわけです。
そして、これまでの日本は「低負担」だったものが、少子高齢化による年金や医療費の増大によって「中負担」へと変わってきていると考えるべきでしょう。
ただし、日本でも、厚生年金の保険料については、2017年に18.3%に上げた後は、それ以上引き上げずに固定すると、2004年の年金改革で決定されています。これは国民負担率の上昇を抑える方向の動きです。
来年に予定されている、消費税の増税が予定通りに行なわれると、再び国民負担率が高くなっていくことが予想されます。この先数年の国民負担率の動きについては、注意が必要でしょう。