配偶者の遺産には、1億6千万円まで相続税がかからない

[2016/5/14 00:00]

配偶者が亡くなった場合の相続税は恐れなくてよい

2015年に相続税の基礎控除額が引き下げられてから、「相続」についての関心が高まっています。

その余波で、「配偶者が亡くなったときに、高い相続税がかかって暮らしが成り立たなくなるのではないか」という不安を抱いている方が増えたようです。

しかし、ほとんどの場合、心配には及びません。

なぜなら、配偶者の遺産相続は、少なくとも「1億6千万円」までは税金がかからないという制度があるからです。

今回は、この制度を紹介しましょう。

相続税では配偶者は優遇されている

この制度の名前は「配偶者の税額の軽減」と言います。

この制度により、配偶者が相続した財産は、少なくとも1億6千万円までは相続税がかかりません。

相続する財産が、もっと大きな金額であった場合でも、一定の範囲で無税となります。

つまり、数億円単位の遺産を相続した場合でも、配偶者には相続税がかからないことが多いのです。

なお、この制度を利用するためには、所得税の申告が必要となります。

相続税の申告期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。

その際には遺産分割協議書の写しなどを添付する必要がありますから、その前に他の相続人と遺産分割の話し合いがついている必要があります。

また、ここで言う配偶者は婚姻届を出して戸籍を入れている夫婦を指します。戸籍を入れていない事実婚や内縁関係の場合は対象となりません。

庶民には相続税は恐ろしい税金ではない

相続税については、「基礎控除が引き下げられて、相続税を支払わなければならない人が増えた」とか「相続税は最高税率が55%で、半分以上も取られてしまう」という、脅しのような知識ばかりが流れています。

しかし、実際には配偶者や未成年の子供には優遇措置が用意されていますし、相続額が1,000万円以下なら税率も10%です。

複数の不動産や大量の株を所有するような富裕層であれば、相続に対する対策は必要となりますが、一般的な生活者の場合、相続税は恐ろしい税金ではありません。

ただし、相続税は10カ月という申告期限までにきちんと申告することが重要です。この期限だけは必ず守ってください。

わからないことがあったときは、地方自治体や弁護士会などでも無料の法律相談会を行なっていますから、それを利用しましょう。また、申告書の書き方や控除額の計算方法は、税務署の窓口で相談することができます。

[シニアガイド編集部]