自分や家族が入院したら、すぐに「限度額適用認定証」を入手しよう

[2018/8/1 13:06]

高額療養費制度を利用するなら「限度額適用認定証」が便利

病気や怪我などで医療費の負担が大きくなった時のために、健康保険には「高額療養費制度」が用意されています。

しかし、高額療養費制度による医療費の払い戻しは、ほとんどの場合は申請作業が必要なため、自分が制度の対象であることも知らずにそのまま放置されている例も少なくありません。

急な入院などで、これから高額な医療費がかかることが分かっている場合には、まず「限度額適用認定証」を取得しましょう。

「限度額適用認定証」を病院の窓口に提示すれば、請求される医療費が、高額療養費制度の自己負担限度額までとなります。

支払う医療費を減らすことができますし、あとから払い戻しを申請する手間もかかりません。

すでに入院してしまっている場合でも、その月のうちに「限度額適用認定証」を取得して、病院の窓口に提示できれば、その月の医療費から自己負担限度額の範囲にできます。

手術が予定されているような入院にあたっては、「限度額適用認定証」は必須のアイテムなのです。

なお、限度額適用認定証が必要なのは、70歳未満の人だけでしたが、2018年8月から、70歳以上でも一部の人は必要となりました。

収入が「現役並み」で、年収が約370万円~約1,160万円に相当する人は、「限度額適用認定証」が必要ですから、手続きをしましょう。

また、以下の記述は70歳未満を対象としています。70歳以上は高額療養費制度の自己負担限度額が異なりますから、ご注意ください。

高額療養費制度の限度額を確認しよう

高額療養費制度の自己負担限度額は、下の表のように定められています。

例えば、現在の年収が500万円とすると、自己負担限度額は80,100円+αです。

しかも、4カ月目以降は44,400円に減額されます。

よく、「急病で手術を受けたら、月の医療費が何百万円にもなって払いきれない」と想像しておびえている方がいらっしゃいますが、実は、きちんと健康保険に加入していて、「限度額適用認定証」を取得していれば、月の医療費は約8万円以上にはなりません。

さらに、年収が370万円以下であれば、月の医療費は57,600円、4カ月目からは44,400円になります。

高額療養費制度の自己負担限度額。 出典:厚生労働省資料

「限度額適用認定証」の貰い方

「限度額適用認定証」は、各健康保険の窓口に申請をして発行してもらいます。

国民健康保険
自分が住んでいる市区町村の国民健康保険の窓口へ申請します。
協会けんぽ
健康保険証に「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と書かれている場合は、協会の各都道府県支部に申請します。申請書類についてはこちらからダウンロードできます。
組合健保
健康保険証に「~健康保険組合」のように、企業や事業単位の健康保険組合の名前が書かれている場合は、その健康保険組合が窓口になります。各組合ごとに書式などが異なりますので、健康保険組合名で検索するかリンク集からホームページを探してください。

郵送で申し込む場合は、数日かかることがありますから、入院の予定が決まったらすぐに手配しましょう。

「限度額適用認定証」の例

「限度額適用認定証」の限界

「限度額適用認定証」を使っていても、次のような制限があります。

  • 2つ以上の病院に同時にかかっている場合は、病院ごとに計算します
  • 同じ病院でも、内科などと歯科がある場合は、歯科は別に扱います
  • 1つの病院・診療所でも通院と入院は別計算です
  • 入院中の食事代や保険がきかない室料、差額ベッド料および歯科の自由診療等は、支給の対象外です

したがって、1カ月の医療費が、いつも自己負担限度額以下になるわけではありません。

それでも、通常の3割負担に比べれば、支払う医療費はずっと少なくなります。

大きな病気やケガでの入院のときは、まず「限度額適用認定証」と覚えておきましょう。

【お知らせ】この記事は2018年8月1日に内容を更新して、70歳以上の扱いについてアップデートしました。

[シニアガイド編集部]