89歳まで入れる自転車保険誕生の理由
89歳まで入れる自転車保険が登場
au損害保険が、2016年10月3日から受付を始める「au自転車向けほけん Bycle S」という自転車向け保険は、70歳から89歳まで加入できるという大きな特徴があります。
これまでの「au自転車向けほけん」では加入者の年齢上限は「74才」でしたが、これを89歳まで引き上げたものです。
保険料は月払(12回払)で「560円」、一時払(1年)で6,060円です。
これで、自転車事故で死亡した場合には400万円が支払われます。個人賠償責任の場合は2億円、弁護士費用も300万円など手厚い保障内容と言えるでしょう。
高齢者向け自転車保険が登場した3つの理由
au損保は、このような保険を開発した理由を3つ挙げています。
- 75才以上のお客さまから自転車保険への加入について、多くのご要望をいただいたこと
- 2015年における自転車乗用中の交通事故死の割合は65才以上の方が全体の約7割に達していたこと
- 自転車事故の加害者側に高額な賠償を命じるケースも発生していること
自転車による死者の65%が65歳以上
このうち、自転車に乗っていての交通事故死については、警察庁交通局の「平成27年における交通事故の発生状況」を基に算出しています。
その結果、グラフで示したように、死者の65%は、65歳以上の高齢者が占めています。
ニュースリリースで、示されているのは死者の比率だけですが、元資料によれば、自転車乗用中の死傷者の合計は「97,805人」に達しています。その内訳は死者が572人、重傷者が8,508人、軽症者が88,725人で、致死率は0.58%でした。
つまり、自転車事故による死傷者は年間約10万人発生しており、その死者の半数以上は高齢者なのです。
1億円近い高額な賠償も
また、自転車事故の高額な賠償判決については、日本損害保険協会による実例を挙げていますので、その中から高齢者がからんでいる2つを紹介します。
- 賠償金額「9,521万円」
男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。(神戸地方裁判所、2013年7月4日判決) - 賠償金額「4,746万円」
男性が昼間、赤信号を無視して交差点を直進し、青信号で横断歩道を歩行中の女性(75歳)に衝突。女性は脳挫傷等で5日後に死亡した。(東京地方裁判所、2014年1月28日判決)
家族のリスクを減らすためにも加入を検討しよう
高齢者の中には、足の痛みなどの理由で、歩くことよりも自転車に乗ることの方が楽という方がいます。
また、健康のためにスポーツとして自転車を運転したいという方もいます。
しかし、au損保が挙げているデータを見ると、少なくとも損害保険には加入すべきでしょう。
本人のためだけではなく、万一の場合の家族のリスクを減らすためにも、高齢の家族が自転車に乗っている方は、ぜひ加入を検討してください。