1986年から2002年の間が危ない「第3号被保険者の未届け問題」

[2017/5/16 00:28]

いつ「第3号被保険者」になったか覚えていますか

今回は、サラリーマンや公務員と結婚していて、厚生年金保険の「第3号被保険者」に該当している、または該当していた人のための記事です。

あなたは、自分が「第3号被保険者」になったのが、いつか覚えていますか。

例えば、就職中に結婚し、それを期に退職していたのであれば、結婚した時点で「第2号被保険者」から「第3号被保険者」へと切り替わった、と思っていませんか。

しかし、「第3号被保険者」になるためには、配偶者であるサラリーマンが、自分の勤め先の会社に、そのための書類を提出する必要があります。婚姻届を出した場合でも、別に届け出が必要なのです。

1986年から2002年の間に結婚した人は危ない

そして、「第3号被保険者」の制度ができた1986年から、2002年までの間は、もっと大変でした。

その間は、配偶者が役所の窓口に行って、「第3号被保険者になりました」という届け出をする必要があったのです。もちろん、制度を知らずに届け出をしなかった人が発生しました。

つまり、サラリーマンと結婚したので、自分では「第3号被保険者」になったと思っているのに、実は「第1号被保険者」のままだったということが起こったのです。

自分は「第3号被保険者」であると思っていますから、役所から「あなたは第1号被保険者だから、年金保険料を納めてください」という通知が来ても、「もう結婚して第3号被保険者になっているから払う必要はない」と思って未納にしてしまった人も多いのです。

厚労省の記録では、この問題を「第3号被保険者の未届け問題」と呼んでいます。

2002年以降は、第3号被保険者になるための届け出用紙は、毎年提出する健康保険の異動届と同じ用紙になりました。これなら忘れることはありません。

たぶん、それまで未届けであっても、このタイミングで「第3号被保険者」になった人も多いでしょう。

ですから、見届け問題に該当している可能性が高いのは、「1986年から2002年に第3号被保険者であったはずの人」です。

ねんきんネットで自分の年金記録を調べる

では、自分が本当はいつ第3号被保険者になったのか、確認する方法はあるのでしょうか。

一番簡単な方法は、日本年金機構が提供している「ねんきんネット」に登録して、自分の年金記録を調べることです。

「ねんきんネット」には、「年金記録の一覧表示」という機能があります。

これは、20歳以降に、自分がどの制度に加入していて、何号の被保険者であったという記録です。

自分が「第3号被保険者」になったはずの年を見れば、本当にその年に届け出が出ていたかが分かります。

なお、自宅に送付されてくる「ねんきん定期便」でも、毎年届くハガキ版のほうでは、最近の年金記録しか掲載されていません。

必ず、ねんきんネットに登録して、「年金記録一覧」で確認してください。

「第3号被保険者の特例届出」を出す

自分が思っていた時期に第3号被保険者になっておらず、第1号被保険者として「未納」の記録を抱えていたことがわかったとしましょう。

この場合の解決方法として、2004年に行なわれた「平成16年改正」によって、「第3号被保険者の特例届出」という制度が用意されました。

特例届け出の内容。2005年3月までの分は特例的に認められる 出典:厚労省

特例の届け出は、第2号被保険者が雇用先の会社で行ないます。

つまり、サラリーマンである配偶者に頼んで、会社の総務担当部署で手続きをしてもらってください。

第3号被保険者の問題としては、「3号不整合記録問題」という別の問題が取り上げられることが多く、「特例届け出」については総務担当者でも知らない人が多いでしょう。

該当する年金記録などの資料を用意して渡し、手続きに必要な書類を確認してもらうことから始めましょう。

特例届出によって、将来の年金が増える

「特例届け出」によって必要な手続きが終われば、未納だった記録が、第3号被保険者として保険料が納付済みの期間として扱われるようになります。

これによって、自分が保険料を支払った期間が足りずに、年金の受給資格がない場合でも、年金が貰える可能性が出てきます。

また、すでに受給資格がある場合でも、加入期間が長くなりますから、将来の年金額が増えます。

例えば、未納から「第3号被保険者」として納付済みに変わった期間が4年間あったとします。

現在の水準で計算すると、納付済み期間が4年増えると、老齢基礎年金の年額が「約7万円」増えます。

年金は死ぬまでもらえますから、85歳まで20年間もらえたとしても、総額で140万円増える計算です。

将来的に、年金が減額されたとしても、未納がある状態よりも、年金が増えることは間違いありません。

これだけ老後の収入が増える可能性があるのですから、該当する可能性がある方は、ねんきんネットにログインするための手続きから始めましょう。

[シニアガイド編集部]