5年刻みで見た、高齢無職世帯の収入と支出の推移

[2017/6/12 00:00]

年齢によって変わる老後の収支

2人以上の世帯で、世帯主が60歳以上の世帯を「高齢無職世帯」と呼びます。

高齢無職世帯は、年金などの社会保障給付が生活の基盤となりますが、同じ60歳以上といっても年齢によって、収入や支出の様子は大きく変わります。

今回は、総務省の「家計調査年報」という資料を基に、60歳から5歳刻みで、家計の様子を追いかけてみましょう。

高齢無職世帯の収入は「年金」が柱

まず、収入を見てみましょう。

ここでは、「実収入」を「年金などの社会保障給付」と「年金以外の収入」に分けています。

「年金以外の収入」には、貯蓄の取り崩しや、仕送り、内職などが含まれています。

グラフの比率をみると、この年代で無職になった場合の収入の柱は「年金」であることは覚えておきましょう。

現在の年金制度では、65歳以前の年金は満額ではありません。そのため、「60歳~64歳」の平均年金額は、他の世代よりも少なくなっています。

65歳以降は、年金の金額が安定し、17万円~18万円で推移します。

まとめると、「60~64歳」は、やや少なめですが、65歳をすぎると年金が安定して、21万円前後の収入が続くと考えて良いでしょう。

出典:資料を基に編集部が作成

60代は支出も赤字も多い

次に、支出を含めてみてみましょう。

税金なども含めた「総支出」は、「65~69歳」がピークで、月額で「29万円」を超えています。

このあたりまでは、現役感が強く、消費に関わる支出が多くなっています。

70歳を過ぎると支出が減り、75歳以上では「25万円」を切るところまで下がります。

これに、先程の収入を組み合わせて、収支を見てみましょう。

すると、すべての年代で毎月赤字であることが分かります。

赤字の金額は、支出によるところが多いので、若いほど大きくなっています。

「60~64歳」の毎月の赤字は「11万円台」もあり、一番少ない「75歳以上」でも「4万円台」の赤字です。

出典:資料を基に編集部が作成

無職世帯は6割を超える

世帯主が60歳以上で、2人以上で構成されている世帯についてみると、63%が「無職」です。

個人事業主が20%、勤労者世帯は17%と少数派です。

年齢別にみても、60歳~65歳ぐらいまでは働いている人も多いのですが、70歳を過ぎると無職になる方が多いのです。

「無職」という言葉は、現役世代には重く感じますが、老後のどこかの時点で無職になることを想定し、その場合の月々の赤字に充てられるように蓄えを作っておきましょう。

また、退職金が出る人は、それも将来の生活費に充てられるよう、慎重に扱うことを考えてください。

出典:資料を基に編集部が作成
[シニアガイド編集部]