「簡単に儲かる」とSNSで誘う海外事業者とのトラブル例

[2017/6/19 00:00]

SNSや動画で「簡単に儲かる」と誘われる

スマホが普及したことによって、SNSや動画などを通じて「簡単に儲かる」という勧誘が増えてきました。

勧誘の内容は、会員組織やマルチ商法で、人を紹介することで会費が無料になったり、お金が儲かるというものです。

しかも、インターネットで契約しているため、意識しないうちに海外の事業者と契約してしまい、解約や返金に応じないでトラブルになる例が増えています。

ここでは、国民生活センターに寄せられた3つの事例を紹介しましょう。

【事例1】「主婦でありながら稼いでいる」というマルチ取引に参加したが儲からない

SNSに「主婦でありながら稼いでいる」という書き込みがあったので投稿者に仕事の内容を聞いた。

海外の事業者と契約して儲けているとのことで、その人から登録申請するためのURLや利用規約が送られてきた。

稼ぐためにはウェブサイトを作る必要があり、そのための費用20万円ぐらいが必要であること、この事業を人に紹介すると1人につき数万円の紹介料がもらえること、登録後も仕事の不明なところはいつでもサポートをすると説明された。

支払い方法はクレジットカードを指定された。

サイト上で登録申請を行い、約22万円をクレジットカードで決済した。

契約書面等はもらっていないが、事業の内容の詳細は動画で確認するようにとURLが送付されてきた。

契約後、業者にシステムの不明な点を問い合わせたら、「マニュアルを見ろ」と全くサポートをしてくれない。

今後どのように作業したらよいか分からないので解約したい。

ネット上で調べた概要書面にはクーリング・オフは2日以内とあり、経過してしまったが解約したい。(20代女性)

【事例2】人を紹介すれば会費が無料になる旅行クラブ会員になったが解約できない

SNSで実業家を名乗る人(以下「実業家」)と知り合い、「この旅行クラブの会員になれば安く旅行できる」と外国の旅行クラブを紹介された。

「初期費用5万円と月会費がかかるが、人を紹介すると初期費用が実質無料になる」と言われ、登録することにした。

実業家の持参したパソコンで実業家が私の情報を入力して登録し、初期費用等を私のクレジットカードで決済したが、登録内容の控えや契約書等の書面は何も渡されなかった。

その後、サービス内容について不安になり、解約しようと思った。

ウェブサイトに14日以内ならクーリング・オフできるような記載があり、期間内だったので退会申請をしたが、登録アドレスが違うので受け付けられないという内容の英文が返信されてきた。

実業家が違うアドレスで登録してしまったようだった。

実業家に連絡したが、一切の返信が取れなくなった。

これから先、ずっと月会費を引き落とされるのは困るので、解約したい。(20代男性)

【事例3】海外サイトとの代理店契約をクーリング・オフしたい

学校の友人から人を紹介すると儲かるというネットワークビジネスの勧誘を受けた。

その内容は、海外サイトの代理店になり、自分が紹介した人が当該サイト経由で買い物をすると、購入者にはキャッシュバックされ、自分にも紹介マージンが入るシステムとのことだった。

報酬は週ごとにもらえ、友人は今まで20万円ほど報酬を得ていると言う。

友人から上位者を紹介され、「当該企業は世界的規模で展開している企業で、今後日本に展開する」と言われた。

友人を信用してネット上で代理店契約をし、約30万円をクレジットカードで決済した。

契約書等の書面は交付されず、当該企業から契約完了した旨を簡単に記載したPDFファイルが送信されてきただけだ。

その後、友人や上位者から「当該企業の日本での展開が怪しくなってきた」と言われ不安になった。

クーリング・オフしたいが、サイトに掲載されている規約には「3日を越えると無条件解約できない」と書いてあり、解約手続きの記載もない。

どうしたらよいか。(20代男性)

「簡単に儲かる」という説明をうのみにしない

出典:国民生活センター

これらのトラブルの原因は、勧誘者が日本人であることに安心して、契約内容や、契約先が海外であることのリスクを十分に認識しないままに、申し込みをしてしまうことにあります。

国民生活センターでは、トラブルを避けるためのアドバイスとして、次の4項目を挙げています。

  • 「簡単に儲かる」という説明をうのみにせず、書面等で契約内容をきちんと確認する
  • 海外事業者の問い合わせ窓口の有無や日本語対応しているか等を事前に確認する
  • 「必ず儲かる」など、事実ではないことを伝えて勧誘しない
  • トラブルになったら、すぐに消費生活センターなどに相談する

また、「簡単にお金が儲かる方法はない」という常識を、もう一度思い出すことも有効でしょう。

[シニアガイド編集部]