高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が増加中

[2017/7/2 00:00]

家族に要介護者がいる家庭の調査

厚労省が行なった「平成28年 国民生活基礎調査」のデータを使って、各家庭の介護の状況を紹介します。

この調査は、2016年6月に行なわれ、介護については6,790人が回答しています。

なお、今回は熊本地震の影響で熊本県では調査を実施していません。すべての数字は、熊本県分を除いたものとなっています。

要介護度は「要介護3」までが多い

家族に「要支援または要介護者」(以下、要介護者と略)のいる家庭に、要介護度の状況を聞いています。

もっとも多いのは「要介護2」でした。

「要支援1」から「要介護3」までの人が多く、「要介護4」と「要介護5」の人は少なくなっています。

出典:厚労省
要介護度の目安 出典:編集部

要介護者は女性ほど高齢化が進んでいる

要介護者の年齢を男女別に見ると、男性は「80~84歳」が多く、女性は「85~89歳」が多くなっています。

女性の方が高齢化が進んでおり、特に寿命の違いから「90歳以上」の割合は、男女差が大きくなっています。

出典:厚労省

介護が必要になった原因

介護が必要になった原因を、要介護度別に見ています。

「要支援1」では「関節疾患」、「要支援2」では「骨折・転倒」が多くなっています。

「要介護」になると、「認知症」が多くなり、「要介護1」から「要介護4」で1位となっています。

意志の伝達ができない「要介護5」のみは「脳血管疾患(脳卒中)」が1位となっています。

出典:厚労省

同居している介護者は「配偶者」と「子」が多い

要介護者と主な介護者の関係を。同居している場合とそうでない場合に分けてみています。

同居している場合は、「配偶者」と「子」が多く、「子の配偶者」が続きます。

同居してる割合は58.7%と高く、近親者による在宅介護が多いことがうかがえます。

同居していない場合は「事業者」が多く、「別居の家族等」が続きます。

出典:厚労省

老老介護が50%を超える

要介護者と、同居している主な介護者との年齢を見ると、いずれも高齢化が進んでいます。

要介護者と介護者が、いずれも65歳以上の高齢者である、いわゆる「老老介護(ろうろうかいご)」の割合は54.7%でした。

さらに、両方とも75歳以上の割合も、今回初めて30%を超えました。

在宅介護のなかで、老々介護の割合は、年々増え続けています。

今後も、夫婦2人だけの世帯を中心とする、高齢者同士による介護が増えていくことが予想されます。

出典:厚労省
[シニアガイド編集部]