周辺にも人が流れ込む「東京圏」、中心部に人が集中する「名古屋圏」と「大阪圏」
都道府県間の人口移動調査
総務省が、都道府県間の人口移動についての調査結果を公開しています。
この調査は、住民基本台帳を基に、都道府県同士の人口の移動を追いかけたものです。
地域内の自然増は計算に入っておらず、よその地域からの転入と、よその地域への転出による社会増減だけをみています。
2016年の統計では、都道府県間の移動率は1.84%でした。住人100人のうち、1.8人は県外へ移動していることになります。
転入が転出を上回るのは7都府県
47都道府県のうち、人口の転入が転出よりも多いのは、7つだけです。
転入数が多い順に、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、愛知県、福岡県、大阪府です。
東京、大阪、名古屋の「3大都市圏」以外では、福岡県だけが転入の方が多い県です。
都市圏全体に人が集まる「東京圏」
3大都市圏のそれぞれについて、もう少し詳しく移動の状況を見てみましょう。
最初に「東京圏」です。
ここでは、東京圏は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を指しています。
グラフを見ると、東京特別区(東京23区)、東京都、東京圏のすべてで、転入が多くなっています。
「東京圏」は、23区や東京都だけではなく、周辺の県を含めた「東京圏」全体が、他県の人を集めていることが分かります。
「名古屋市」に人が集まる「名古屋圏」
「名古屋圏」の場合は、やや様子が異なります。
「名古屋市」は、多くの人を集めていますが、「愛知県」で見ると、転入率が下がります。
さらに、愛知県、岐阜県、三重県を加えた「名古屋圏」では、転入よりも転出が多くなってしまいます。
つまり、名古屋圏の場合、他県から人が集まるのは「名古屋市」に集中していることが分かります。
「大阪市」への集中が進む「大阪圏」
「大阪圏」も、名古屋圏に近い状況です。
「大阪市」は転入が多く、ここ数年、その勢いが増しています。
「大阪府」で見ても、転入の方が多いのですが、大阪市ほどの勢いはありません。
さらに、兵庫県、京都府、奈良県を加えた「大阪圏」では、転出が多い状態が続いています。
中心部の魅力を周辺に広げることが課題
3つの都市圏を比較すると、「東京圏」は、中心部だけではなく地域全体が人を集めています。
一方、「名古屋圏」と「大阪圏」は、中心部である「名古屋市」と「大阪市」は人を引き寄せていますが、周辺地域は横ばいか減っています。
なお、転入の割合を示す「転入超過率」という指標でみると、東京23区は0.68%、名古屋市は0.22%、大阪市は0.41%でした。
つまり、人の転入を促す力は、大阪市の方が、名古屋市よりも強いことが分かります。
しかし、県単位に範囲を広げて、「愛知県」と「大阪府」で見ると、愛知県の方が転入超過率が高くなります。
大阪の課題は、「大阪市」の魅力を、「大阪府」全体に広げていくことなのです。
【お知らせ】この記事は、2018年5月2日に内容を更新しました。