絶対に「持ち家」が欲しい人のための「財形住宅貯蓄」入門
お金が貯まって、ローンも借りられる制度
「将来は持ち家が買いたい。でも、頭金もない」という人に勧められるのが「財形住宅貯蓄」という制度です。
これは、国の法律に沿って、会社が用意する制度なので、お勤めの会社に用意されていなければ、利用することはできません。
しかし、「頭金が作りやすい」「確実にローンが借りられる」というメリットがあるので、会社にあれば利用したい制度なのです。
「財形住宅貯蓄」は財形の一部
「財形住宅貯蓄」は「勤労者財産形成促進制度」、略して「財形(ざいけい)」という制度の一部です。
財形は、一言で言うと、会社の総務部門が窓口となる社内預金制度の一種です。
会社の総務部門に聞くときは、「ウチの会社って、財形ありますか」と聞いてください。
ローンがセットになっている積立預金
「財形住宅貯蓄」に加入できるのは、満55歳未満の従業員です。
積立期間は5年以上と決まっています。
「財形住宅貯蓄」の最大のメリットは、「財形持家転貸融資」という住宅ローンが借りられることです。
このローンの融資限度額は、財形貯蓄残高の10倍以内で、最高4,000万円です。
ローンの返済期間は最長で35年ですが、借入時の年齢によって制限があります。
つまり、5年間がんばって頭金分を積み立てると、長期のローンが確実に借りられるわけです。
例えば、400万円の積み立てがあれば、4,000万円のローンが借りられるので、自己資金と合わせて4,400万円の資金ができます。
ローンの利率は2017年7月1日現在で 「年0.71%」です。利率は5年固定制で、5年毎に見直しが入ります。
また、「子育て中」「中小企業勤労者」の場合、利息が優遇されます。
ローンの対象となる住宅については、床面積などの条件があるので確認してください。
「財形持家転貸融資」は長期/低利が特徴ですが、現在のような低金利時代では、もっと良い条件のローンが見つかるかもしれません。その場合は、そちらのローンを利用すれば良いでしょう。
大事なのは、貯めた残高の10倍までは、必ずローンが借りられるという安心感です。
「天引き」+「用途の縛り」で貯めやすい
「財形住宅貯蓄」が頭金を貯めやすいのには、理由が2つあります。
1つは、給与やボーナスから指定の金額が「天引き」されることです。
もう1つは、積み立てているお金が引き出しにくいことです。
「財形住宅貯蓄」は、550万円まで、利息に税金がかかりません。
ただし、資金の使い道は、住宅の建設、住宅の購入、リフォームに限られています。これ以外の目的で引き出すと、過去5年にさかのぼって、利息に税金がかかります。
つまり、引き出し時に、必ず使い道を確認されるうえに、税金までかかります。
さらに、一部分だけ引き出すことはできず、全部解約となってしまいます。
これらが心理的な壁となって、本来の用途以外の目的で、引き出すことがためらわれるのです。
安定した職場に向いている制度
「財形住宅貯蓄」を含む財形は、会社単位で用意されている制度です。
転職の際に、転職先に同じ制度が用意されていれば持ち運ぶこともできますが、基本的には同じ会社で安定して働く時に利用する制度です。
あなたの仕事の内容や職場の状況が安定しており、持ち家を買うという目的に向けて一歩を踏み出す時に向いている制度と言えるでしょう。