移住希望の相談が多い都道府県ベスト10
地方移住相談は前年度の1.5倍
総務省が、2016年度に、都道府県や市区町村などの自治体が受けた移住相談の件数を発表しています。
今年度の移住相談件数は213,469件でした。
これは、昨年度の141,883件の約1.5倍にあたり、地方移住への関心が高まっていることが分かります。
このうち、自治体が設けている移住相談窓口で受け付けたものが160,293件、地方移住に関するイベントで受け付けたものが53,176件でした。
相談件数を、都道府県別に集計すると、昨年度に続き「長野県」が1位でした。
長野県は移住相談窓口での相談件数が11,201件で1位となっており、イベントでも3.820件を集めました。
2位から4位は、「新潟県」「北海道」「富山県」が入っています。ここまでは、相談件数が1万件を超えています。
ついでに、10位までの相談件数を並べておきましょう。
- 長野県 15,021件
- 新潟県 13,246件
- 北海道 11,794件
- 富山県 11,787件
- 石川県 9,099件
- 兵庫県 8,109件
- 鳥取県 8,059件
- 高知県 7,518件
- 福井県 7,148件
- 山梨県 6,932件
相談件数を増やす2つの戦略
上位に入った4県のうち、長野県、新潟県、富山県は、窓口だけで、相談件数が1万件を超えています。
この3県は、都市住民の勧誘に熱心で、大都市に相談窓口を設けています。
例えば、長野県は、首都圏、中部圏、近畿圏の三大都市圏のすべてに相談窓口を設置しています。
新潟県は、都内に「移住」と「Uターン」の窓口を2つずつ、計4つ用意しています。
富山県も、都内に2つの窓口を用意しています。
一方、3位の北海道は、イベントでの相談件数が多いのが特徴です。
首都圏の相談窓口は1カ所だけで、相談は5,943件に留まっています。しかし、イベントでの相談件数が他の県を圧倒するほど多く、5,851件に達しています。
移住者を勧誘する戦略において、大都市に常設の窓口を設置して相談しやすい状況をめざす「長野県」「新潟県」「富山県」と、イベントで人気を集める「北海道」という違いが表れています。
相談件数が少ない都道府県
最後に移住の相談件数が少ない都道府県を紹介しましょう。
1位は「東京都」で351件でした。
東京都は、自治体による常設の移住相談窓口が設置されていない、唯一の都道府県です。
積極的に、他県からの移住を勧誘する必要を感じていないということでしょう。
2位は「大阪府」で940件でした。
大阪府は、首都圏に相談窓口もあるのですが、窓口が690件、イベントでも250件と、相談件数が伸びていません。
大阪は、首都圏のサラリーマンにとっては転勤先というイメージが強くて、移住先としては浮かばないのかもしれません。
3位は「沖縄県」で1,159件です。
沖縄県の相談窓口は、沖縄本島の「沖縄県企画部地域・離島課」しかありません。
そのため、窓口への相談件数が372件と少ないのです。
しかし、イベントでの相談件数は787件あり、他県に比べてもひけをとりません。
移住先としての人気はありますが、沖縄県自身は、あまり積極的に勧誘していないように見えます。
今回発表された移住に関する相談件数のランキングは、移住先としての人気だけではなく、移住を受け入れる県の力の入れ方が反映されたランキングと言えるでしょう。