家族を介護している人が「介護離職」を防ぐために必要なこと
2万人を対象にした介護離職のアンケート
調査会社のインテージリサーチが、「介護離職に関するアンケート」の結果を公開しています。
この調査は、全国の35歳以上59歳までの2万人の被雇用者(会社員、公務員など)を対象にしています。
5.8%の人は、既に介護中
調査対象の2万人のうち、「現在、家族の介護を担っている」人は5.8%でした。
年代別にみると、年令が高くなるほど、家族の介護を行なっている割合が増えています。
「55~59歳」では11.7%に達しており、この年代では1割以上の人が家族の介護を担っています。
家族に頼る介護が多い
家族の介護を担っている人に「介護や家事を支援してくれる人の有無」を訪ねています。
「同居の家族」が58.3%、「別居の家族」が30.0%と多くの人は家族で支え合いながら介護をしている様子がわかります。
「公的な介護サービス」に支援されていると答えた人は46.6%います。
一方で、11.7%の人は「支援は何もない」と答えており、介護保険などの公的支援を受けていない人も多いことが分かります。
支援を受けていないと介護離職につながりやすい
現在、仕事と介護を両立している人たちの多くは、「要介護者の状態がこれ以上悪くならなければ、このまま続けていけると思う」、「介護保険制度や民間のサービス等をうまく使うことができれば、このまま続けていけると思う」と答えています。
しかし、「肉体的・精神的に疲れがたまり、このまま両立を続ける自信はない(仕事を辞めることを考えている)」という介護離職に近づいている人が、支援を受けている場合で3.5%、支援を受けていない場合は11.5%もいます。
周囲の支援が無いと「介護離職」を招きやすいことが分かります。
介護離職を防ぐためにできること
「仕事を辞めることを考えている人」に対して、「どのような条件があったら仕事を辞めずに続けられると思いますか」と聞いています。
最も多い回答は「要介護者が施設等に入所し、自宅で介護をする必要がなければ続けられると思う」でした。
次いで「介護から離れて気分転換したりやからだを休ませるなど、自分自身の心とからだをケアできれば続けられると思う」と「公的介護保険サービスが十分に受けられれば、仕事を続けられると思う」が並んでいます。
また、「在宅勤務やフレックスタイム制度など、柔軟な働き方ができれば続けられると思う」など、働き方に柔軟さを求める声もありました。
介護離職を招かないための、もっとも有効な対策は「施設入所」です。
しかし、介護保険制度の活用や、勤務体制の変更など、介護離職を防ぐためにできることがあります。
自分や家族だけで抱え込まずに、役所や地域包括支援センター、そして勤務先と相談することから始めましょう。