「テレワーク」について、あえてネガティブな声を聞く

[2017/7/24 00:00]

23.3%あるネガティブなクチコミの内容

テレワークとは、インターネット技術を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。一般には、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務などのことを表します。

テレワークのメリットについては、弊誌でも何度か紹介しているので、今回はテレワークについてネガティブな感想/意見を掲載します。

今回、掲載したコメントは、企業リサーチサイト「Vorkers(ヴォーカーズ)」に寄せられた、テレワーク導入企業の社員クチコミの一部です。

なお、クチコミの内容を見ると、テレワークについて肯定的な意見が76.7%、否定的な意見が23.3%でした。

ここでは、否定的な意見を紹介していますが、寄せられたクチコミは肯定的な意見の方が多いことに留意してください。

出典:Vorkers

利用しやすいインフラ、風土が必要

「在宅勤務制度はあるが、携帯の貸与もなければビデオ会議システムもないので非常にやりづらい。」

「在宅勤務制度はある。ただ、インフラが十分ではなく、改善すれば、もっと使いやすくなるはずと思う。」

「育児休暇や在宅勤務など働き方の改革を進めてはいるが、実際に制度が使える雰囲気になっていないため、現状はあまり普及していないと感じる。」

「在宅勤務制度が整っているが、部署ごとに使用可否を申請する制度となっており、旧態依然とした部署では在宅勤務は使用できない風潮となっている。マネージャ職は在宅勤務使用しづらい空気がある。」

「在宅ワークの環境は整っていると感じるがルールがあまりにも厳格化されている為、計画的には取りやすいが、突発的な用事が発生する場合は柔軟性がないと感じる。もう少し、柔軟なルール作りが必要と感じる。」

テレワークを導入・運用する上での課題の一つとして「利用のしやすさ」を挙げる声が見られました。

これは、会社からアクセスするのと同じ環境を整えたPCや電話会議システムといった、インフラ整備を指す「ハード面」と、テレワーク利用に対する上司や周囲の理解、組織風土を指す「ソフト面」の両方が挙げられます。

オン/オフの切り替えがあいまいになり休めない

「夜中も普通にメールが飛び交う環境。夕食後、就寝前に仕事をしている人が多い印象。」

「リモートでも働ける環境が整理されているため、休暇取得中でもレスポンスを求められることが多い。」

「社内ではリモートワークを導入しているが、結局家で仕事をして疲弊している人も少なくない。」

「在宅勤務も可能であり、仕事とプライベートを切り替えられる人は、最適では。 切り替えられない人は、24時間仕事することになる。」

「在宅勤務を奨励していることもあり、オンとオフの区別がつけにくい。家にいても常にPCを立ち上げており、15分に1回はメールを確認しないと不安になる。」

いつでもどこでも働けるということは、24時間仕事ができてしまうということでもあります。人によっては「ずっと仕事に追われて休めない」と感じるようです。

こういった声はクチコミにも多く見られ、社員一人ひとりの自己管理やメリハリのつけ方が重要になってきます。

勤務時間や成果など、管理が難しい

「テレワーク、フレックス、リモート会議は浸透しているのでワークライフバランスは改善の方向にある。 役員レベルで推進しているのでかなり浸透している。 しかし、成果主義により自宅での仕事量(サービス残業)も増しているのは1つの課題。」

「リモートワーク推進が進み、限られた勤務時間で成果を最大化することが求められ、評価される。現在ではパソコンのログイン時間をモニタリングされているため申告した業務時間外に働くことが出来ない。」

「月に2回までで、子どもの学校行事に参加をする理由で、在宅勤務を選択することができます。 在宅勤務を開始するときに、グループメンバーにメール通知をし、終了時にもメールします。その時に成果物やどんな仕事をしたのかレポートの提出が義務付けられています。 在宅勤務は夜10時から朝の5時までは利用できません。」

「フリーアドレスやフレックスワーク、在宅勤務等、ある程度自由に仕事ができる環境であることは間違いありませんが、自由すぎて誰がどこで何をしているかを上司すらも把握できていないと思います。」

「週一回の在宅勤務の推奨や出張も多いので、誰がどこで何をやっているかはよくわからないし、誰も気にしない。ただ、そのぶん結果が要求され、コミュニケーションを周りや上司と上手くしなければいけない。」

先述の24時間仕事ができてしまうことに関連して、テレワークによるオーバーワークが指摘されています。

家に仕事を持ち帰れることにより業務時間が長くなってしまう、社員の業務状況の把握ができないなど、勤務時間や成果の管理が難しくなっている面もあります。

テレワークの導入にあたっては、社員の自己管理だけでなく、それをサポートし評価する仕組みづくりが必要不可欠といえるでしょう。

メリットがあるだけに、より良い制度を

ここで紹介したクチコミを基に、テレワークのデメリットをまとめると、つぎの3つになります。

  • 利用しやすいインフラ、風土が必要
  • オン/オフの切り替えがあいまいになり休めない
  • 勤務時間や成果など、管理が難しい

一方、肯定的なクチコミを基に、テレワークのメリットをまとめると、次の3つになります。

  • 時間を有効活用して、生産性が向上できる
  • 場所に縛られずストレス無く働ける
  • 子育て中や、家族の介護中でも働き続けられる

これらのメリットは、いずれも有益なものなので、各企業でテレワークが選択できるようになることが期待されます。

その際に、実際に使える、より良い制度を導入するためにも、今回紹介された課題を参考にしてください。

[シニアガイド編集部]