日本の社会保障制度はイギリス並み、フランス以下

[2017/8/7 00:00]

年金や医療保険などの社会保障制度に関する1年間の支出を「社会支出」と言います。

「社会支出」は「経済協力開発機構(OECD)」という国際機関で基準が定められているので、異なる国の間でも比較することができます。

ここでは、国立社会保障・人口問題研究所の資料を基にして、日本の社会保障制度を他の国と比較してみましょう。

日本は、アメリカ以上、イギリス並み

日本の「社会支出」を「国民総生産」に対する割合で見ると、その国が、社会福祉に対してどれぐらい力を注いでいるかが分かります。

2013年の日本の社会支出の対GDP比率は「22.7%」でした。

これを先進諸国の同じ年のデータと比べると、アメリカの19.1%よりも多く、イギリスの22.8%と並びます。

しかし、福祉が手厚い、ドイツやスウェーデン、そしてフランスなどの大陸ヨーロッパ諸国と比べると差があります。

データを基に編集部が作成

日本は「高齢」と「遺族」を重視

「社会支出」は8つの分野別に分けられます。

日本の支出の傾向を見るために、対GDP比率が近いイギリスと比較してみましょう。

2つの国の支出のパターンを見比べると、大きな差があります。

日本は「高齢」と「遺族」の支出が多いことが分かります。

「高齢」は老齢年金、「遺族」は遺族年金が、多くを占めています。

一方、イギリスでは「家族」「障害」と「住宅」が多くなっています。

「家族」は出産/育児休業、就学前教育/保育などの子育て、「障害」は障害年金や介護保健、「住宅」は住宅手当などが主な内容です。

2つの国を比べると、高齢者対策に力を入れている日本、子育てや障害者福祉、そして住宅対策に力を入れているイギリスという傾向がわかります。

対GDP比率で見ると、福祉については同じ程度の負担を行なっている2つの国であっても、国情や政策の違いによって、重点が置かれているポイントが異なっています。

データを基に編集部が作成

付録:「社会支出」の分野一覧

  • 高齢 老齢年金、介護
  • 保健 健康保険
  • 遺族 遺族年金、埋葬費
  • 家族 出産/育児休業、就学前教育/保育
  • 障害 障害年金、介護
  • 失業 失業給付、退職手当
  • 積極的労働市場政策 公的雇用サービスと行政、訓練、雇用奨励金
  • 住宅 住宅手当、住宅扶助
  • その他 所得補助、社会的支援
[シニアガイド編集部]