再就職した人が、前の会社を辞めた理由ランキング
前職を辞めた理由の調査
転職をした人は珍しくなくなりましたが、「どうして前職を辞めたのか」と聞く機会は多くありません。
たとえ興味はあってもプライベートな問題なので、よほど親しい間柄でないと遠慮してしまうのです。
しかし、厚労省が公開した「平成28年雇用動向調査結果の概要」というレポートの中に、「転職入職者が前職を辞めた理由」という、そのものズバリのデータがあったので紹介します。
男性は「給与」「労働条件」「会社の将来性」
まず、男性から見ていきましょう。
一番多いのは「その他の理由(出向等を含む)」でした。
やはり、なかなかズバリの理由は言いにくいのでしょう。
2番目は「定年/契約期間の満了」です。
全年代を対象にした調査なので、「定年」が多いのですね。
3番目は「給料等、収入が少なかった」です。給与の問題は大事です。ようやく本音が出てきた感じですね。
4番目は「(労働時間、休日等の)労働条件が悪かった」、5番目が「会社の将来が不安だった」でした。
実質的には、「給与」「労働条件」「会社の将来性」が大きな理由と言えるでしょう。
女性は「労働条件」「人間関係」「給与」の順
女性のデータを見ると、やや様子が異なっています。
1番目と2番目は同じですが、3番めは「(労働時間、休日等の)労働条件が悪かった」が入っています。
4番目は、男性では上位にない「職場の人間関係が好ましくなかった」が入りました。
5番目は「給料等、収入が少なかった」です。
実質的には、「労働条件」「人間関係」「給与」の順で、「人間関係」が重視されていることが特徴です。
会社を辞める理由は、年代によって異なる
さきほどのデータでは「その他の理由(出向等を含む)」が1位で、「定年/契約満了」が、男女とも2位に入っていました。
しかし、若い層が会社を辞めるには、もっと別の理由が有るはずです。
そこで、各年代別に、「その他の理由(出向等を含む)」以外で、一番多い理由を抜き出してみました。
この表を見ると、やはり年代ごとに会社を辞める理由が異なっていることが分かります。
20代までは、「労働条件」や「収入」が多くなっています。
30代になると、男性は「会社の将来」、女性は「人間関係」が多くなってきます。
男性は「35~39歳」と「40~44歳」あたりが、「このまま、この会社に勤め続けていて良いのか」と迷う時期なのでしょう。
女性は、30代から40代にかけて「職場の人間関係」で悩む時期が続きます。
そして、40代は支出が多い時期だけに、ふたたび「収入」が重視されます。
定年が近い「55~59歳」になっても、「人間関係」の悩みが続きますが、最後は「会社都合」や「定年/契約満了」で退職となります。
40代までは「自己都合」、50代からは「会社都合」
こうして見ると、40代までの退職と、50代以降の退職は、かなり違うものだと分かります。
40代までは、「労働条件」「給与」「人間関係」「会社の将来性」などの理由から、自分で判断して退職しています。
しかし、50代になると、「会社都合」や「定年/契約満了」という、会社側の都合による退職が中心となります。
実際にグラフ化してみると、60代以降は、退職理由のほとんどが「定年/契約満了」となります。
つまり、40代までは、まだ会社を自分の意思や都合で“辞める”ことができますが、50代からは会社都合で“辞めさせられる”年代と考えておいた方が良いでしょう。