日本では「親しい友人がいない」高齢者がアメリカの2倍以上いる
4カ国の高齢者に聞いた「人づきあい」
「孤独な生活を送る高齢者」が、よく問題視されますが、これは日本特有の問題なのでしょうか。
データを探したところ、高齢者が、どのように人と交際しているかを、国際的に比較した調査がありました。
ここでは、内閣府が2015年に行なった調査から、人との関わり方に関する項目を紹介しましょう。
調査は2015年の9月から12月にかけて、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの4カ国で行なわれました。各国とも1,000人以上のサンプルに対面で聞き取りを行なっています。
なお、対象となる高齢者は60歳以上の男女です。
毎日誰かと会話している人が多い
「人と直接会って、話をする頻度」を聞いています。
ここで言う「人」は、同居の家族やホームヘルパーなども含んでいます。
各国とも「ほとんど毎日」が一番多く、毎日会話のある人が多いことが分かります。
ただ、ドイツ以外の国は「ほとんど毎日」という回答が80%を超えますが、ドイツだけは「68.8%」と低くなっています。
病気の時に頼れる人は誰
「病気などのときに、同居の家族以外に頼れる人」を聞いています。
4カ国とも、一番多いのは「別居の家族/親族」でした。
二番目に多いのが「友人」なのも共通です。
ただし、日本以外では「友人」を挙げる人は40%を超えていますが、日本では「18.5%」しかいません。
また、ドイツでは「近所の人」も頼れるとする人が多く、逆に「頼れる人がいない」という回答が少なくなっています。
日本は友達がいない人が多い
「相談や世話をしあう親しい友人がいるか」と聞いています。
日本は「友人がいる」という回答が少なく、しかも「同性の友人」に偏っています。
また、「友人がいない」という回答も、日本が一番多くなっています。
日本は約26%で、4人に1人は友人がいません。この割合は、アメリカやスウェーデンの2倍以上になります。
お国柄が出る近所付き合い
「近所の人たちとの具体的な付き合い方」を聞いています。
日本では「外で立ち話をする」や「物をあげたりもらったりする」が多くなっています。
特徴的なのはドイツで、「お茶や食事を一緒にする」や「相談したりされたりする」が40%を超えています。
また、「病気の時に助け合う」も、ドイツとアメリカが多くなっています。
日本の近所付き合いが、立ち話や贈答など、玄関で済む用事が多いのに対し、ドイツでは食事や相談の相手として接しており、交際の深さが異なることが分かります。
家族や親族以外との交際に配慮を
ここまでの回答内容を見ると、日本の高齢者は家族以外との交際が少なく、友人や近所の人との交際が浅く、まったく交際がない割合も高くなっています。
なお、この調査では回答者の男女別の集計はありませんが、国内の調査では、特に男性について相談相手がなく孤立している状況が繰り返し指摘されています。
「友人」や「近所の人」など、家族や親族以外の人との交際を心がけておきましょう。