投資や借金を考えた時に使う「72の法則」
年8%の投資は、どれぐらい有利なのか
「充実した老後のために、年8%のxxxx投資を!!」
というたぐいのセールストークを良く聞きます。
では、実際に8%の利益が出るとして、投資した金額が倍になるには、どれぐらいの期間がかかるのでしょう。
これを簡単に計算するために、よく使われるのが「72の法則」です。
この記事では、この法則を使って「投資」や「借金」をするときの、目安のつけかたを紹介します。
投資したお金が2倍になる期間がすぐに分かる
72の法則は、「72÷金利≒お金が2倍になる期間」というものです。
金利は利子にも利子がつく「複利」が前提です。
例えば、年利で5%の利益が出る投資であれば、「72÷5=14.4」ですから、投資したお金が2倍になるのに「14.4年」かかることになります。
これが、年利8%ならば「72÷8=9」で9年、逆に年利3%に落ちたら「72÷3=24年」という計算になります。
8%と3%というと、あまり違いがないと感じるかもしれませんが、2倍になる期間で比べると2.6倍も差があるのです。
普通預金の金利は低い
2017年9月現在、大きな銀行の普通預金口座の金利は「0.001%」です。
これを72の法則で計算すると「72÷0.001=72,000年」で、2倍になるまで7万2千年かかります。
投資を勧誘する業者は、こういう数字を利用して「だから、普通に銀行にお金を預けているだけではダメなんですよ」と言って投資商品を勧めます。
初めて聞くと、「7万2千年」という大きな数字にびっくりしてしまって、話に乗ってしまいやすいので、ご注意ください。
普通預金の本来の機能は、お金を増やすことでなく、安全に保管することや引き落とし口座として利用することです。利息が少ないからと言って、だからダメなのだという話に乗ってはいけません。
ローンでも役立つ72の法則
72の法則は、投資だけではなく、借金にも有効です。
例えば、住宅ローンを借りる時に使えます。
2017年9月現在、期間10年、金利固定の住宅ローンの金利は「1%」前後です。
72の法則で計算すると「72÷1=72年」で、2倍になるまでに72年もかかります。
金利が高かったころの住宅ローンでは、10年固定で「7%」というものもありました。この場合は「72÷7=10.2」で10.2年になります。
低金利の現在は、お金を借りるには有利な時期であることが分かります。
72の法則が教えてくれるカード借金の危険性
低金利時代だからと言って、すべての借金が有利なわけではありません。
例えば、クレジットカードによる借金は金利の設定が高く、キャッシングは「18%」、リボルビング払いは「15%」が主流です。
72の法則で計算すると、キャッシングは「72÷18=4」で4年、リボ払いは「72÷15=4.8年」で、2倍になることが分かります。
カードのキャッシング枠を限度いっぱいまで借りっぱなしにすることが、どれぐらい危ないことであるかが分かります。
72の法則の限界
72の法則で使われている「≒」という記号は、「ほとんど等しい」という意味です。
つまり、ある程度の誤差があることが前提です。
つまり、あくまでも「目安」を知るための法則であって、厳密な計算をするためのものではありません。
ただし、普通の人が「投資」や「借金」の際に、金利を数字で示されても、体感しにくいものがあります。
それが、「~年で2倍になる」と言われれば、金利の差が感覚として理解できます。そこが「72の法則」の優れた点なのです。