人の出入りで分かる「東京」「大阪」「愛知」の性格の違い

[2017/10/23 00:00]

東京都民は、地方出身者ばかりなのか

「東京は、地方から出てきた人ばかりで地元民がいない街」と言われることがあります。

実際に東京に住んでみると、生まれてからずっと東京という地元の人が意外と多く、一概にそうとは言えないことがわかります。

とはいえ、県外から移住した人に会う機会が多いのも事実です。

いったい、東京都民の何割ぐらいが地元出身者なのだろうと思っていたら、国立社会保障・人口問題研究所が「人口移動調査」という調査結果を公開していました。

ここでは、東京、大阪、愛知の3都府県の移動データに絞って紹介します。

東京生まれの65%は東京に住んでいる

まず、「東京生まれの人が、いま住んでいる県」を見てみましょう。

東京生まれで、いまも東京に住んでいる人は「65%」(小数点以下切り捨て、以下同)でした。

つまり、「東京生まれの人の6割強は、そのまま東京住まい」であることが分かります。

一番多い移住先は「神奈川」で、「埼玉」「千葉」と、近隣の県が続きます。この3県で25%を占めます。

首都圏以外では、「愛知」が一番多い移住先でした。

出典:データを基に編集部が作成

東京都民のうち東京生まれは54%だけ

逆に「東京に住んでいる人は、どこの県の出身」なのでしょう。

一番多いのは「東京」でした。割合は54%です。

つまり、東京に住んでいる人の半分以上は東京生まれですが、県外からの移住者が46%もいるのです。

地元出身者も多いが、県外からの移住者も多いという実感は、意外と正確だったと言えるでしょう。

2位からは「神奈川」「千葉」「埼玉」の首都圏グループが続きます。

首都圏以外では「北海道」と「大阪」からの移住者が多いことが分かります。

出典:データを基に編集部が作成

大阪生まれは大阪から離れたがらない

次に、大阪を見てみましょう。

まず、「大阪生まれの人が、いま住んでいる県」です。

一番多いのは「大阪」で、71%でした。

この割合は東京よりも5%高く、「大阪生まれは大阪を離れたがらない」ことが分かります。

移住先としては、「兵庫」「奈良」「京都」などの近隣と、「東京」「神奈川」などの首都圏が競っています。

東京に比べると、近隣への移住者の割合が低いのが特徴です。

出典:データを基に編集部が作成

大阪は海外からの流入も多い

逆に「大阪に住んでいる人は、どこの県の出身」なのでしょう。

一番多いのは「大阪」生まれで、59%でした。

この数字は東京より5%高く、「大阪府民の6割は大阪生まれ」です。

2位は隣の「兵庫」ですが、3位に「外国」が入っています。

近隣の「京都」「奈良」よりも、国外からの移住者が多く、ある意味、大阪は東京よりも国際的な街と言えるでしょう。

また、「鹿児島」もランク入りしており、九州方面とのつながりが強いことも分かります。

出典:データを基に編集部が作成

愛知生まれの85%は、愛知県に住んでいる

最後に、名古屋を擁する愛知県を見てみましょう。

まず、「愛知生まれの人が、いま住んでいる県」です。

実に、85%の人が愛知に住んでいます。

この割合は、東京や大阪よりもずっと高く、愛知生まれは地元を離れたがらないことが分かります。

移住先としては「東京」「神奈川」「大阪」の大都市圏と、近隣の「三重」と「岐阜」ですが、いずれも1~2%に留まっています。

出典:データを基に編集部が作成

愛知県民の7割以上は愛知生まれ

逆に「愛知に住んでいる人は、どこの県の出身」なのでしょう。

一番多いのは、もちろん「愛知」で、その割合は71%に達しています。

言い換えると、「愛知県民の7割以上が愛知県生まれ」です。

2位から4位は「岐阜」「三重」「静岡」が入り、愛知県が近隣の県から、人を集めていることが分かります。

それ以外では「東京」と「大阪」が入っており、大都市間で人口の移動があることが分かります。

出典:データを基に編集部が作成

かなり性格が異なる3つの都市圏

東京、大阪、愛知の人口移動を比べると、それぞれの地域ごとの特徴があることが分かります。

3つの都府県の数字をまとめてみましょう。

最初の数字が「その県に生まれた人が住み続けている割合」、次の数字が「その県に住んでいる人が、その県出身である割合」です。

  • 東京 65%/54%
  • 大阪 71%/59%
  • 愛知 85%/71%

こうして見ると、「東京」生まれは、東京から出る人が多いことがわかります。

一方、他県から東京へ入る人も多く、都民の4割を超えています。

特に、隣接する「神奈川」「千葉」「埼玉」との結びつきは強く、お互いに人の出入りがあります。
この3県については、同じ「首都圏」というくくりで捉えていて、「県外」という意識が薄いのかもしれません。

「大阪」生まれは東京に比べると、地元への愛着が強く、大阪府から出たがりません。

外からの移住者は多めですが、近隣の県との結びつきは東京ほど強くありません。

「愛知」生まれは、大阪生まれ以上に地元から離れません。

県外からの移住者の割合も低く、独立した性格が強い地域であることが分かります。

このように、その県からの人の出入りの違いを見ると、その都市の性格が現れていることがわかります。

これから移住する場合は、その土地の性格を知っておくことで、人や街ととの付き合い方の参考になるでしょう。

[シニアガイド編集部]