個人年金に入っている人は28%。入った理由は「公的年金の将来が不安だから」

[2017/10/26 00:00]

9千人が回答した大規模な調査

厚生労働省が、「民間の個人年金」についての調査結果を公開しています。

ここで言う「民間の個人年金」とは、保険会社が販売している個人年金保険などの商品を指します。

この調査は、無作為抽出した20歳以上の成人に、調査員が配布と回収を行ない、最終的に9,811人の有効回答を得ています。

単なるアンケートではなく、きちんとした方法による社会調査なので、信頼できる結果と言えるでしょう。

なお、本文中では、パーセント表記の数字は、小数点以下で四捨五入しています。

個人年金に加入している人は3割以下

民間の個人年金に加入している人は「28%」でした。

個人年金保険に入っている人は、4人に1人ぐらいで、少数派であることが分かります。

加入していない人は「70%」でした。

年齢別に見ると、40代と50代は、加入率が30%を超えています。

このあたりは、身近になりつつある老後に対して不安が強い年代なのでしょう。

出典:厚労省

個人年金に入る理由は「公的年金への不安」

個人年金に加入している理由で一番多いのは、「公的年金制度の将来に不安があるから」でした。

公的年金への不安が、民間の個人年金に入る動機となっていることが分かります。

二番目も「公的年金だけでは、生活に不安があるから」です。つまり、年金は出ても、金額が少ないのではないかと不安なのです。

この2つ以外の理由は、5%未満に留まっています。

個人年金への加入は、公的年金への不安が支えていることが分かります。

なお、個人年金でも、「家族や友人に勧められたから」や「勧誘されたから」という回答があります。保険の場合は、どんな商品でも、人間関係がきっかけとなることがようです。

出典:厚労省

個人年金に入らない理由は「保険料が払えないから」

民間の保険に加入していない理由で、一番多いのは「保険料が払えないから」でした。

回答者の50%以上が、これを挙げています。

ただし、年収が1千万円を超えている層でも、「保険料が払えない」ことを理由にしている人が45%もいます。

そのため、「払えない」と回答している人の中には、「払いたくない」という人もいることが想像できます。

二番目に多いのは「将来のことは分からず、今のほうが大事だと思っているから」でした。

三番目にようやく「公的年金制度に満足(信用)しているから」が出てきます。

同じ質問でも、公的医療保険では「信用している」人が28%いましたが、公的年金制度では17%に留まっています。

医療制度に比べて、年金制度に対する信頼は薄く、不安を抱いている人が多いことが分かります。

出典:厚労省

不安はあっても「公的年金」に頼らざるをえない

今回の調査では、個人年金に加入している人は、3割以下に留まっていることが分かりました。

多くの人は、個人年金を老後の生計を支えるための手段としていません。

では、回答者たちは、老後の生計を支えるための手段として、何を想定しているのでしょう。

すでに老後生活を送っている場合は、現在の状況を聞いています。

「1番目に頼りにするもの」は、「公的年金」「自分の就労による収入」「配偶者の就労による収入」の順でした。

公的年金に対する不安は強いが、公的年金に頼らざるをえないという状況が分かります。

「2番目に頼りにするもの」は、「貯蓄または退職金の取り崩し」「公的年金」「自分の就労による収入」の順です。

頼りにするものの組み合わせを見ると、「公的年金」+「貯蓄または退職金の取り崩し」と「公的年金」+「自分の就労による収入」が多くなっています。

このあたりが、自分の老後の生活を支えるための、現実感のある回答なのでしょう。

出典:厚労省
[シニアガイド編集部]