孤独死の後始末には平均で53万円も掛かる
保険会社の団体による孤独死調査
一般財団法人 日本少額短期保険協会が「孤独死現状レポート」を公開しています。
この協会に加入している少額保険会社では、賃貸住宅のオーナー向けに「孤独死保険」を販売しています。
「孤独死保険」は、加入しているアパートやマンションで、孤独死者が出た場合に、後始末を行なうための費用を補償する保険です。
今回のレポートは、この孤独死保険の保険金の支払実績などから、孤独死の実態を調査したものです。
保険金の支払い例は「1,095人」
まず、孤独死者のデータからを見ていきましょう。
2015年4月から2017年1月までの22カ月間に、保険金が支払われた孤独死者は「1,095人」でした。
一見、少ないように見えますが、これは「孤独死保険に加入している物件で孤独死した人」の数です。実際には、さらに多くの孤独死者がいることが推測されます。
圧倒的に男性が多い
孤独死者の82.5%は「男性」で、「女性」は18.8%しかいません。
年齢別で見ると、男女とも「60代」を中心に、その前後が多くなっています。
平均年齢で見ても、男性が「60.4歳」、女性が「59.7歳」でした。
孤独死というと、高齢者をイメージしがちですが、実は50代から60代の現役世代が多いのです。
半数以上が「病死」
孤独死の原因は、「病死」が一番多く、半数を超えています。
病死の次は「自殺」で1割を超えています。
男女別では、男性は「病死」が多く、女性は「自殺」が多い傾向があります。
3日以内に見つかる人は2割以下
孤独死者が発見されるまでの日数は、「4~14日」が一番多く、もっと長い例も少なくありません。
3日以内に発見される割合は2割以下に留まっています。
近親者に見つかる人は4割ちょっと
孤独死の第一発見者は、「親族」が一番多く、次が住居の管理人などの「管理」です。
「親族」と「友人」を合わせた“近親者”の割合は43.9%でした。
「管理」「福祉」「警察」など“職業上の関係者”は44.8%でした。
近親者に見つけてもらえる孤独死者は、半分もいません。
まったくの「他人」に見つかる人も1割を超えています。
なお、男性は近親者に見つかる割合が低く、他人に見つかる場合が多くなっています。女性に比べて、普段の人間関係が薄いのかもしれません。
孤独死の後始末には平均で53万円も掛かる
最後に、孤独死による経済的な損害を、孤独死保険で支払われた保険金のデータから見てみましょう。
孤独死した人が残した家具などの処理を表す「残置物処理費用」の平均は「19万6,436円」でした。
最大では「146万円」掛かっています。
また、清掃やリフォームなどを表す「原状回復費用」の平均は「33万8,375円」でした。
最大では「341万円」掛かっています。
孤独死の後始末には、平均でも約53万円掛かっています。
さらに住居の損傷が大きかった場合には、損害額は百万円単位に膨らみます。
孤独死による金銭的な影響は、想像以上に大きいことが分かります。