踏み込んだ現場の8割で申告漏れが見つかる、相続税の実地調査
相続税の税務調査結果
国税庁が「相続税の調査状況」を公開しています。
国税庁は、7月1日から翌年6月30日までを「事務年度」としています。
今回公開されたのは、2016年7月から2017年6月までの「平成28事務年度」に行なわれた調査です。
調査対象の82%で申告漏れが見つかる
対象となって事務年度に、実地調査が行なわれた件数は「11,935件」でした。
調査の結果、全体の「82%」にあたる9,930件に申告漏れなどを表す「非違(ひい)」がありました。
つまり、税務署が実地調査に入った場合は、8割以上で確率で申告漏れが見つかっています。かなり確実な証拠をつかんでから、調査に入っていることいが分かります。
申告漏れの対象は「現金/預貯金」が多い
申告漏れしていた税額は、3,295億円でした。
実地調査1件当たりで、2,720万円の申告漏れがあった計算です。
申告漏れしていた財産の種別は、「現金/預貯金」が一番多く33%ありました。
二番目以降は、「有価証券」「土地」「家屋」が続きます。
重加算税の割合は12.8%
相続税に限らず、実際の金額よりも過小に申告していると「過少申告加算税」がかかります。
過少申告加算税の税率は、通常10%で、多い場合でも15%です。
しかし、意図的に隠蔽を行なうなど、悪質な場合は「重加算税」の対象となります。
重加算税の税率は、金額を少なく申告していた場合は35%、申告をせずに隠していた場合は40%と高率です。
進行漏れが見つかった件数のうち「12.8%」が重加算税の対象となっています。
本来の税率とは別に、更にこれだけの重税を課されるのですから、隠蔽がバレた場合には、それなりの覚悟がいることが分かります。
「贈与税」でも3千件以上の調査
相続税とセットになっている「贈与税」についても、実地調査は行なわれています。
調査件数は「3,722件」と相続税より少ないのですが、そのうち「92.2%」にあたる3,434件で申告漏れが見つかっています。
実地調査1件当たりの申告漏れ額は「5,153万円」でした。
改正後の申告は来年分から
2015年に行なわれた相続税の改正によって、相続税の申告が必要な人は大幅に増加しています。
来年の実地調査は、改正後の申告が中心となります。そのため、調査件数の増加など、大きな変化が予想されます。
いったん調査に入れば、8割以上の確率で申告漏れを見つける現在の実地調査が、どのように変わっていくのか目が離せません。