高齢者による犯罪は約4万7千件、その7割が「窃盗」
高齢者が関係する犯罪が増加
法務省が、「平成29年番犯罪白書」のあらましを公開しています。
今回は、高齢者に関係する犯罪の増加を受けて、「高齢者関係」という専用のコーナーが設けられており、数値がまとめられています。
この記事では、これを基に、高齢者の犯罪について紹介します。
なお、ここでいう高齢者は「65歳以上」を表します。
検挙される人の2割が高齢者
暴行や盗みなど、刑法で禁じられている犯罪を犯したとして、検挙された(取り調べを受けた)高齢者は、「4万6,977人」でした。
高齢者の検挙数は、検挙数全体の約2割を占めており、その割合は増え続けています。
そのうち、万引きなどの盗みを示す「窃盗(せっとう)」が、「3万3,979人」で、7割以上を占めています。
特に、女性の場合、「窃盗」の割合が高く、全体の9割を占めます。
高齢受刑者は再犯率が高い
裁判の結果、刑務所に入所した受刑者のうち、高齢者は「2,498人」でした。
受刑者全体のうち、高齢者は「12.2%」を占めており、昨年より1.5%増えています。
また、受刑者のうち、70.2%は、以前にも受刑した経験がある「再入者」でした。
高齢者の場合、2年以内に再入する人が他の年齢よりも多く、「23.2%」に達します。
高齢の受刑者は、受刑後に出所しても、再犯に至りやすいことが分かります。
高齢者の被害は約9万件
刑法犯のうち、被害者が高齢者だった割合は「13.9%」でした。
件数でいうと「9万2,587件」です。
犯罪別では「詐欺」が多く、「1万3,236件」でした。
これは、詐欺事件全体の44.1%にあたり、詐欺犯が高齢者を標的としていることが分かります。
高齢者を狙った詐欺事件の被害者のうち、7割が女性でした。
犯罪は減っているが、高齢者の割合が上がっている
高齢者関係の数値だけ見ていると、犯罪者や被害者が増えている印象を受けます。
しかし、犯罪の件数全体を見ると、犯罪は14年連続で減り続けています。
今年の犯罪白書が対象としている2016年の犯罪件数は、「99万6,120件」で、戦後初めて100万件を切りました。
これは、戦後最多だった2002年(平成14年)の3分の1にあたります。
このように、他の年代の犯罪検挙数が減る中で、高齢者の犯罪は高止まりが続いており、犯罪全体に占める割合が上がっているのです。
高齢者の犯罪の多くは、万引きなどの窃盗です。軽い出来心で犯しがちな犯罪だけに、自分や家族がそのような過ちを犯さないように、心がけましょう。