高齢者でも入居を拒まない賃貸住宅を確保する新制度

[2017/11/23 00:00]

拒まれない住宅を確保する新しい制度

2017年10月に「住宅セーフティネット制度」が新しくなりました。

改正の目的は、高齢者など、賃貸住宅を借りにくい人を対象とした住宅を増やすことです。

具体的には、「空き家・空き室」となっている賃貸住宅のオーナーに対して、賃貸住宅を借りにくい「住宅確保要配慮者」に住宅を提供する代わりに、リフォームなどの改修費用を補助することが中心となっています。

住宅を貸す側と、借りる側のそれぞれについて、この制度の使い方を紹介しましょう。

オーナーには、リフォーム費用や家賃補助などがメリット

最初に、住宅を貸すオーナーへのメリットを紹介しましょう。

オーナーにとって最大のメリットは、空き部屋になっている物件について、公共からの補助を受けてリフォームができることです。

新しい住宅セーフティネット制度では、オーナーが「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない住宅として、都道府県などに登録します。

ここで言う住宅確保要配慮者とは、低額所得者、高齢者、障がい者、高校生以下の子供を養育中の人などです。

この登録をすると、高齢などを理由として、入居を拒むことができなくなります。

その代わり、地方自治体などから、次のような経済的支援が受けられます。

  • バリアフリーなどを目的としたリフォーム費用の補助
  • 住宅金融支援機構によるリフォーム費用の融資
  • 家賃や保証金などを安くするための補助

また、月収15万8千円以下の低額所得者が入居する場合は、1戸当たり2万円の家賃補助が行なわれます。

詳細については、国交省のホームページに、ハンドブックや申請書類などが用意されていますので、そちらを参照してください。

出典:国土交通省住宅局資料

拒まれない住宅が分かることが最大のメリット

次に、住宅を借りる側からのメリットを紹介します。

最大のメリットは、高齢者や障がい者など、断られやすい条件の人でも、それを理由にして入居を拒まれない住宅が確保されることです。

登録された住宅は、専用のサイト「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索できます。

ただし、制度が始まったばかりなので、2017年11月の時点では、登録されている住宅はありません。

低額所得者の場合は、家賃の補助がありますから、周辺の同じような条件の住宅に比べて、家賃が安くなるというメリットもあります。

「セーフティネット住宅情報提供システム」 の画面

本格化するのは来年度以降

新しい「住宅セーフティネット制度」は、始まったばかりで、実際に供給が始まるのは来年度以降になるでしょう。

オーナーの方は、まずハンドブックなどをダウンロードして、制度のメリットを

問題は、空き家・空き室になっている住宅を抱えるオーナーが、どれぐらいの割合で登録するかでしょう。

借りる側としては、こういう制度があるということを覚えておき、賃貸住宅を探すときに「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索してみれば良いでしょう。

[シニアガイド編集部]