高齢者による自転車事故は1年に約2万件。自転車事故全体の20%
高齢者による自転車事故を分析
「自転車の安全利用促進委員会」が、高齢者による自転車の事故についての調査結果を公開しています。
この調査は、交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータを基に、高齢者による自転車事故について分析したものです。
高齢者による自転車事故は1万9千件
2015年に発生した自転車事故の件数は98,700件でした。
そのうち、65歳以上の高齢者による事故は「19,510件」で、全体の19.8%にあたります。
高齢者の自転車事故では、出合頭の事故が群を抜いて多くなっています。
また、事故の発生場所では、比較的交通量が少なく歩道のない裏道交差点が多くなっています。
ハンドルの操作ミスは2倍以上
また、高齢者事故の特徴として、ハンドル操作が制御できなかったり、意識と異なる方向にハンドルを切ってしまったりするミス「ハンドル操作ミス」が多くなっています。
高齢者の自転車事故における人的要因のうち「ハンドル操作ミス」は4.7%となっており、事故全体の1.9%の約2.5倍になっています。
単独での転倒や転落も多い
高齢者の自転車事故では、単独の転倒事故も突出して多くなっています。
年間の転倒事故は1,320件ですが、600件が高齢者によるものでした。
また、自転車の転落事故は175件ですが、うち高齢者によるものが93件と半数以上を占めています。
身体能力の低下によりミスを起こしやすい
「自転車の安全利用促進委員会」のメンバーで、三井住友トラスト基礎研究所の古倉宗治氏は、次のようにコメントしています。
高齢者(65歳以上)は全体的に身体能力が低下して、視覚能力の衰えによる認知ミスや、バランス感覚、運動神経の低下による操作ミス、特にハンドル操作ミスが生じやすい状況です。このため、路面の状態・段差・障害物などを見落としがちで、さらにこれを回避するための的確なハンドル操作ができていないと思われます。
また、歩道での転倒事故が多いのは、歩道空間が狭いことと、段差や障害物を回避したり、速度を制御することが難しいからだと考えられます。
高齢者は自転車の速度が低く、また、ルールを守った慎重な運転を行う人が多いとされています。
一層この傾向を維持していただくとともに、自らの視覚やバランス感覚、運動感覚などを十分に理解した上で運転すること、夜道はなるべく避けること、夜間ではライトを欠かさず点灯するなどして、障害物などを認識できるようにすることが大切です。その上で、荷物や坂道などでのふらつきをなくすために、特徴や操作方法をよく理解した上での電動アシスト自転車の利用がおすすめと言えます。