家と土地を相続すると、降りかかってくる厄介事の例

[2017/12/27 00:00]

相続して初めて分かる不動産の厄介さ

親の財産を相続するときに、「現在、自分が住んでない土地付きの家」を貰うときは、それなりの覚悟が必要です。

親が財産を残してくれるのは、本当にありがたいことなのですが、「土地付きの家」を相続すると、予想していた以上に手間やお金がかかることが多いのです。

特に、都会で借家住まいに慣れていると、不動産にまつわるやっかいな事柄を意識していません。相続してから、初めて、その面倒さに気がつくのです。

この記事では、「固定資産税」を中心に、「自分が住んでない土地付きの家を相続する」がやっかいである理由を紹介します。

家や土地は持っているだけで税金がかかる

不動産は持っているだけでお金がかかります。

持ち家の方は当たり前だと思うでしょうが、家や土地などを相続してから初めて知ったという人も少なくありません。

だいたい、そういう経費は、親御さんが負担しているので、知らないでいることも多いのです。

まず、税金から見ていきましょう。

不動産には、漏れなく「固定資産税」という地方税がかかります。

固定資産税の税率は、土地と建物の評価額×1.4%です。

さらに、地域によっては、「都市計画税」という0.3%の税金が別にかかります。

例えば、両親が亡くなって空き家となっている、一戸建て住宅を相続したとしましょう。

仮に、固定資産税の計算に使われる「課税標準額」という評価額が、家と土地を合わせて「800万円」だったとします。

固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%とすると、年間の税額は「13万6千円」になります。

一般に、固定資産税は年4回に分けて支払うので、6月、9月、12月、2月に、それぞれ「3万4千円」ずつかかります。

自分が住んでいない家にかかるお金と思うと、金額以上に支払いが重く感じられるものです。

自分で管理すれば交通費が、人に頼めば管理費がかかる

「自分が住んでない土地付きの家」を持っていると、固定資産税以外にもお金がかかります。

例えば、自分は東京住まいで、相続した家が離れた場所にあるとしましょう。

そうすると、家の管理に伴うお金がかかります。

アパートやマンション住まいだと忘れがちですが、家を持っていると、必ず管理作業が必要です。

例えば、ゴミの投げ入れ、庭の草刈り、屋根の雪下ろしなどを放置しておくと、隣近所から苦情が出てトラブルとなります。

そのため、少なくとも年に数回は手入れをする必要があります。

離れた場所であれば、そのつど交通費がかかります。家の状態によっては別に宿泊費もかかります。

だからと言って、業者などに家の管理を委託すると、管理費などの名目で費用が発生します。

簡単な見回りでも、月に数千円はかかります。清掃などの作業を伴う場合は、年に10万円を超える場合も珍しくありません。

いっそ、今の家をたたんで、相続した家に引っ越すという手もありますが、それは自分の人生に関わる重い決断となります。

そう簡単にできることではありませんし、覚悟が必要となります。

家を取り壊すと「固定資産税」が6倍になる!?

「自分が住んでない土地付きの家」の管理の手間を考えると、家を取り壊して、更地(さらち)にしてしまう方が楽なのですが、そうすると、また別の問題が発生します。

実は、「固定資産税」が高くなるのです。

土地に対する固定資産税には、「住宅用地に対する課税標準額の特例措置」という特例が設けられています。

簡単に言うと、その土地に住宅などが建っていると、住居1戸につき敷地200平方mまでは、固定資産税が6分の1に軽減されます。

なお、敷地が200平方mを超える場合は、住宅の床面積の10倍までは、固定資産税が3分の1になります。

つまり、土地の固定資産税は、そこに住宅が建っているだけで、大幅に安くなっているのです。

家を取り壊すと、土地が特例から外れてしまいますから、土地の固定資産税が3倍ないし、6倍になってしまいます。

つまり、家を残して、家と土地の固定資産税を払うほうが、特例から外れた土地の固定資産税を払うよりも安いので、うかつに家を取り壊すことができないのです。

何も考えずに家を解体すると、解体作業に費用がかかった上に、固定資産税が跳ね上がるという厳しい状況に追いやられてしまうのです。

不動産に関する法律は、このような例外が多く、知識と経験のある専門家を必要とする分野なのです。

住宅の解体作業

ずるずると引きずるよりも、相続直後に相談を

「自分が住んでない土地付きの家」を相続することは、かなりやっかいなことであることがおわかりでしょう。

相続手続きが終わったら、早めに専門家に相談して、行動を起こしましょう。

決断をためらって、ずるずると固定資産税を払い続けているのはもったいないことです。

そうこうしているうちに、家が廃屋となってしまったら、さらに費用と手間がかかります。

なお、地方によっては、「売ろうとしたが、査定価格が、1年分の固定資産税にも及ばない」という例も耳にします。

しかし、人口が減りつつある現在、日本のほとんどの地域では、土地の価格が下がることはあっても、上がることはありません。

「買い手があるだけマシ」「来年からの固定資産税の分だけでもトク」と考えて、値段が付いているうちに決断しましょう。

[シニアガイド編集部]