2017年も「介護事業」の倒産が増加。2000年以降で最多更新
[2018/1/7 00:00]
介護保険法施行以降で最多
企業情報調査会社の東京商工リサーチが、2017年の「老人福祉・介護事業」の倒産件数を発表しています。
2017年1月から12月までの倒産件数は「111件」でした。これは、昨年の108件を上回り、介護保険法が施行された2000年以降で最多でした。
なお、倒産した企業のうち、民事再生法による再建例は4件しかなく、ほとんどは事業が消滅しています。
医療福祉業界全体でも、倒産件数は「249件」に上り、増加傾向が続いています。
倒産理由は「事業上の失敗」が増加
「老人福祉・介護事業」の倒産理由は、営業面に問題のある「販売不振」が最多でした。しかし、「販売不振」の件数自体は、昨年の69件を下回る「51件」でした。
一方、事業戦略などに問題のある「事業上の失敗」は「26件」で、昨年の18件から増えています。
東京商工リサーチでは、「安易な起業や本業不振のため異業種からの参入など、事前準備や事業計画が甘い小・零細規模の業者が思惑通りに業績を上げられず経営に行き詰まったケースが多い」と分析しています。
また、医療福祉業界全体についても「高齢化社会の成長産業として注目される医療福祉業界だが、介護職員の人手不足が深刻化するなど、経営のかじ取りが難しさを増し、業界内では淘汰の動きが加速している」と今後についても厳しい見方をしています。
医療福祉業界では、倒産には至らないまでも、利益が減少している企業が半分を超えています。
自分や家族の介護において、長期的に利用する施設を選ぶ際には、その施設が営業を続けることが重要です。事業が継続することを確認するために、経営状況をチェックしましょう。