「資格難民」500人に聞いた、資格を取ったのに就職できない理由
資格があれば就職ができるわけではない
「なんらかの資格を取得したものの、資格を活かした仕事につけていない人」を「資格難民」と呼ぶことがあります。
マーケティング会社のトレンダーズ「トレンド総研」では、資格難民である20代から30代の女性500人にアンケートを行なっています。
今回のアンケートは、若い女性を対象としたものですが、資格を活かして転職を考えている、すべての年代の人の参考になるでしょう。
募集が少なく、あっても経験者が優遇される
資格を取りながら、それを活かすことができなかった理由を探るために、「資格取得後の就職・転職活動において難しいと感じた点」と聞いています。
一番多かった回答は、「条件にあう募集が少ない」でした。全体の4割以上の人が挙げており、主な理由となっています。
次に、あまり差がなく、「経験者が優遇され、未経験の場合は不利になる」が続いています。
また、「募集人員が少ない」や「人気の仕事であり、競争率が高い」なども、2割以上の人が挙げています。
つまり、資格を活かせる仕事は人気がある上に募集が少なく、入り込める余地がないことが分かります。
また、単に資格を取得しているだけではなく、その仕事に関する経験が求められている職場も多いようです。
スクールや講座が持つ「就活力」が重要
では、資格を活かした仕事に就くために、どのような方法を取れば良いのでしょうか。
それを知るために、「就業を見据えた資格取得にあたって重要なこと」を聞いています。
「就業までサポートしてもらえるスクール・講座を選ぶ」が最も多く、4割以上の支持がありました。
3番目と4番目にも、「就業の実績が豊富なスクール・講座を選ぶ」と「資格取得後も相談窓口があるスクール・講座を選ぶ」が入っています。
つまり、卒業生が、その仕事に就いている実績があるスクールを選び、そのスクールが持つ就職へのサポート力を頼ることが、良い戦略として考えられているようです。
また、2番目には、「仕事を続けながら資格の勉強をする」が入っています。これは、資格を活かした就職に向けて、長い活動が必要となることを覚悟しての選択でしょう。
スクールを選ぶときにも、就業の実績を重視する
今回の回答者が、資格を取るために行なった勉強方法は、各種学校などの「スクール」が35%、「独学」が33%、「通信講座」が26%でした。
つまり、独学と通信講座が、半分以上を占めています。
孤独な環境で、資格取得のために努力をしてきた経験を持つ人が多いだけに、スクールが持つサポート力への期待が大きいようです。
実際に、資格取得後のサポート体制を、アピールするスクールも増えています。
資格を取得することが目的でなく、その資格を活かした仕事への「就業」が目的ならば、スクールや講座を選ぶときも、就職に向けたサポート力や、就職の実績を重視して選びましょう。
資格の分野を選ぶことも重要
最後に、アンケート結果について、キャリアアドバイザーの藤井佐和子氏が、コメントを寄せています。
まず大前提として、キャリアを考える際、仕事によっては資格が大きな武器になることがあります。特に専門スキルがない方などは、自身を過小評価しがちな傾向にあるのですが、資格取得をきっかけに、自分に自信が持てるようになったという人も多くいらっしゃいます。また、未経験から希望の職業を目指す場合は、資格の勉強を通じて必要な知識を前もって習得したり、本当に自分が興味を持てる分野なのかを確かめたりすることも、非常に意味があることだと思います。
しかし、資格を武器に希望の職業に就く人がいる一方で、資格を取得しても希望の職に就けない「資格難民」の方が一定数いるのも事実です。
特に「資格難民」に陥りやすいと言われているのが、税理士や社労士といった“士業”。その大きな理由は、市場が縮小している一方で、資格取得者数は増加しており、結果的に競争率が高まっているからです。
就職先がなかなか見つからなかったり、自身で開業しても仕事がなく食べていけなかったり、という人も少なくありません。
就業を見据えた資格取得の場合、その仕事のマーケットを見ておくのも重要なポイント。例えば、医療や介護の分野などは、今後、高齢化が進む日本では拡大傾向にあるため、資格を活かした仕事に就きやすいと言えるでしょう。
資格を取得する前に、その資格の市場がどうなっているかも、良く調べましょう。