転職の求人が多い職種は「インターネットエンジニア」、少ない職種は「一般事務」
「転職求人倍率」は1.82倍
転職支援サービス「リクルートエージェント」が、2018年1月末日時点の転職求人倍率を公開しています。
「転職求人倍率」とは、リクルートエージェントの登録者1名に対して、リクルートエージェントにおける中途採用求人数が、何件あるかを計算したものです。
2018年1月の転職求人倍率は、「1.82倍」でした。
つまり、登録者1人に対して、1.82件の求人があることになります。
求職する人の1.82倍も求人があるのですから、現在の転職市場が、人手不足の状況であることが分かります。
しかし、この1.82倍というのは、全体の数値です。
個々の職種については、求人が多い人気の職種と、求人が少ない不人気な職種があります。
それぞれのランキングを紹介しましょう。
インターネットの専門職は、6倍以上の求人が殺到
まず、人気の職種から見ていきましょう。
下に掲げたのは、「転職求人倍率が3倍を超える職種」です。
1位は「インターネット専門職(Webエンジニア含む)」で、転職求人倍率は「6.10倍」です。
つまり、登録1人に対して、6倍の求人があります。
インターネットに関する技術を持っている人が、いかに求められているかが分かります。
2位は「組込/制御ソフトウエア開発エンジニア」です。これも4倍以上の求人があります。
同じソフトウェアのエンジニアでも、こちらは電子機器などの組み込みシステムのソフトウェアを作る職業です。
組み込み機器がインターネットに接続される「IoT(Internet of Things)」のブームもあって人気が高まっています。
3位は「建設エンジニア」です。
東京オリンピック/パラリンピックに向けて、建設ラッシュが進む建築業界だけに、転職求人倍率が高くなっています。
ただし、1年前に比べると、少し求人倍率が下がりました。
- インターネット専門職(Webエンジニア含む) 6.10倍 1.13倍プラス(前年同月比)
- 組込/制御ソフトウエア開発エンジニア 4.82倍 0.73倍プラス
- 建設エンジニア 4.10倍 0.34倍マイナス
- IT系エンジニア 3.83倍 0.2倍プラス
- SE(システムエンジニア) 3.26倍 0 横ばい
- 機械エンジニア 3.02倍 0.42倍プラス
- 機電エンジニア 3.01倍 0.57倍プラス
「オフィスワーク事務職」は求人が少ない
次に、転職求人倍率が低く、不人気な職種を見ていきましょう。
下に掲げたのは、転職求人倍率が1倍を切る職種です。
つまり、その職を求めている登録者が、求人よりも多い職種です。
1位は「オフィスワーク事務職」でした。専門技能を持たない一般の事務職は、転職求人倍率が低く、0.42倍しかありません。
2位は「食品エンジニア」です。
食品エンジニアとは、食品の生産技術などを研究し、主に食品の製造設備の設計や導入を行なう職種です。
3位は「制作/編集/ライター」です。
本や雑誌などの印刷物や、インターネットのコンテンツを作る職業です。
印刷物については、長く続く出版不況が影響して、市場が縮小しています。
また、インターネットのコンテンツについては、クラウドワーカーを中心とするフリーランスの参入によってコスト削減が進んでおり、専門職を雇う会社が少なくなっています。
恐ろしいことに、ここに掲げた職種は、すべて1年前に比べて、転職求人倍率が下がっています。
状況が好転するどころか、さらに厳しい状況に追い込まれている職種なのです。
- オフィスワーク事務職 0.42倍 0.11倍マイナス(前年同月比)
- 食品エンジニア 0.55倍 0.04倍マイナス
- 制作/編集/ライター 0.65倍 0.14倍マイナス
- 金融専門職 0.67倍 0.2倍マイナス
- 医療技術者 0.70倍 0.26倍マイナス
- メディカルエンジニア 0.83倍 0.37倍マイナス
- 資材購買/物流/貿易 0.88倍 0.03倍マイナス
- 総務/広報 0.89倍 0.18倍マイナス
- 化学エンジニア 0.90倍 0.27倍マイナス
職種によって市場価値は異なる
ここまで見てきたように、人手不足の状況が明確で、転職市場が活況を呈している状況でも、「職種」によって、状況には大きな差があります。
全体的には売り手市場の状況なので、転職時に前向きになりやすい状況ですが、「転職市場での市場価値」が高い職種と低い職種があることは覚えておきましょう。
自分の希望する仕事や雇用条件と、市場が求めている価値とにギャプがないか、もう一度、よく検討してみましょう。