60代前半のネット利用は8割、80代前半では3割
郵送回答で高齢者の実像が分かる調査
シンクタンクの日本能率協会総合研究所が、「高齢者ライフスタイル構造基本調査」の結果を公開しています。
この調査は、郵送で行なわれており、インターネットアンケートでは現れにくい、高齢者の実態が明らかとなっています。
2017年12月に行なわれた調査では、全国に居住する60歳から90歳までの男女、2,500人が回答しています。
ここでは、インターネットの利用に関する項目を紹介しましょう。
インターネット利用は年齢層による違いが大きい
まず、高齢者に「インターネットの利用」について聞いています。
ここで言うインターネット利用は「パソコンや携帯電話等からのメール送受信、ホームページの閲覧等」の水準を指しています。
回答者全体のインターネット利用を見ると、「自分ひとりで、ある程度利用している」という人は50%強に留まっています。
そして、インターネットの利用率は、年齢による差が大きいことがわかりました。
60代前半の男性では、80%以上がインターネットを利用しています。
しかし、70代後半では60%程度、80代前半になると30%程度に留まっています。
80代後半になると、インターネット利用率は10%を切ります。
また、60代の女性は、男性とほぼ同じ程度にインターネットを利用しています。
しかし、70歳以上になると、男性に比べてインターネットの利用率が下がる傾向があります。
ネット通販の利用は少ない
次に、「インターネット通信販売」を、月に何回利用するかを聞いています。
もっとも利用が盛んな「60代前半」でも、ネット通販の利用は「月に1回未満」に留まっています。
女性の方がやや多く「0.8回」、男性が「0.7回」でした。
年齢が進むに連れて、ネット通販の利用回数は下がって行きます。
70代になると、ネット通販の利用回数は月に0.5回を切り、80代後半では、ほぼ利用がなくなります。
70代と80代ではインターネットへのなじみの深さが違う
今回の調査では、ある程度、インターネットを利用している世代でも、ネット通販の利用頻度は低いことが分かりました。
ネット通販への不慣れや不信感、クレジットカードを使うことへの抵抗感などが背景にあると推測されます。
また、インターネットの利用、ネット通販とも、年齢が進むに連れて、利用している人が急激に少なくなります。
振り返ってみれば、パソコンによるインターネットの利用が普及するきっかけとなった「Windows 95」の登場が約20年前、スマホが普及するきっかけとなった「iPhone 3G」の国内発売が約10年前です。
現在80代の方は、その時点ですでに高齢者だったので、現役時代にインターネットに慣れる機会が少なかったのだと思われます。
今後も、現役時代からインターネットになじみがある、現在の70代を上限として高齢者のインターネット利用は進んでいくでしょう。