一人暮らしの高齢者でも、緊急医療処置がスムーズに受けられるサービス
万一の緊急時に備えたサービス
主に一人暮らしの高齢者に向けて、事故や病気などで倒れた際に、適切な治療を受けるためのサービスが、一部で始まっています。
ここでは、東京都八王子市の「北原トータルライフサポート倶楽部」の例を紹介します。
会員情報をデジタル化して管理する
「北原トータルライフサポート倶楽部」は、2018年3月に開始されたばかりの会員制サービスです。
サービスの軸となるのは「デジタルリビングウィル」です。
これは、個人情報や意志情報をデジタル管理し、医療行為に伴う同意書もあらかじめ登録しておきます。
これにより、次のようなメリットがあります。
- 万が一の事故や病気で倒れた場合、身元の確認や搬送すべき病院が分かる
- 病歴や生活歴、常用している薬などがわかる
- 検査や治療に伴う承諾が取れているため、意志に沿った形で治療が受けられる
北原トータルライフサポート倶楽部は、医療法人社団KNIが運営する八王子市内の4つの病院を協力病院としており、救急搬送の場合も受け入れる体制があります。
また、医療費の支払いについては、三井住友信託銀行による信託が用意されており、協力病院での治療費やサービス費用が自動支払されます。
このほか、年に1度の検診と、電話やメールによる相談サービスが用意されています。
介護やリハビリにも展開
現在の北原トータルライフサポート倶楽部は、医療サービスが中心ですが、将来的には日常生活やリハビリテーションへもサービスを拡大する予定です。
公開されているパンフレットでは、次のように述べています。
医療・介護サービスはもとより、買い物代行から、家電、家屋の修理、ペットの預かり、自分のお葬式の用意、遺言書の作成代行に至るまで、病気になって始めて経験する生活の困りごとにも全て対応した心強く頼りになるサービスになっていきます。
2018年度の会費は年6万円(税抜)ですが、サービスの拡大とともに次年度は年10万円を上限に改定が予定されています。
治療を受けるために必要な情報を提供する仕組み
医療の現場を見る機会があると、救急医療を受けるためには「身元の確認」「治療に向けての意志の確認」「家族への連絡と同意」「支払い方法の確認」など、いくつもの情報が必要とされることが分かります。
「北原トータルライフサポート倶楽部」は、それらをシステムとしてサービスに結びつけている点で興味深い試みと言えるでしょう。
また、関連病院への囲い込みという点でも有効なサービスでしょう。
他の医療法人でも、スマートフォンのアプリ、診察券やマイナンバーカードなどを利用して、緊急時に備えた情報を提供するサービスが増えてくるでしょう。