空家の半分以上は「相続」した家。相続時に方針を決めないと、そのままに
国の調査で見る空家の実態
人が住まず放置されている「空き家(空家)」。
地方自治体による対策も始まっていますが、住宅地でもよく見かける存在です。
この記事では国土交通省(国交省)が行なった「空家実態調査」の結果を利用して、空家がどんな状態なのかを紹介します。
この調査は、ほぼ5年ごとに行なわれており、最新の平成26年(2014年)の調査では、全国の「一戸建て」の空家が対象となっています。
空家は「相続」でやってくる
空家の所有者は、どうして空家を持つことになったのでしょう。
所有者の半分以上は、「相続」によって家を入手しています。
つまり、親の実家などを相続して、なんらかの理由で空家にしている人が多いのです。
残りは、新築や中古で購入した人です。
空家の3分の2は、1980年より前に建てられている
街なかで見かける空家は、古びた建物が多いのですが、いったい、いつ頃に建てられたものなのでしょう。
調査対象となった3,116軒のうち、3分の2が「1980年以前」の建築でした。
1980年は、建築基準法の耐震基準が強化され、いわゆる「新耐震」となった年です。
現在でも、「新耐震」であれば、一応、安心な建物とされており、それ以前と以後では市場の評価は異なります。
実際には、家を建てる前の建築確認を受けた年と、家が建った年には数年の差があるので、多少の誤差がありますが、空家の多くは新耐震に合致していません。
そして、恐ろしいことに、1950年(昭和25年)以前に建てられた家も15.4%あります。
つまり、空家の1割以上は、少なくとも築60年を超えていることになります。
空家の半分は腐っているか壊れている
空家は、管理が行き届かないことが多く、木材が腐っている「腐朽(ふきゅう)」や、どこかが壊れている「破損」が珍しくありません。
実際に、空家の47%では、腐朽や破損があります。
さらに、全体の18.8%では、「屋根の変形や柱の傾きが生じている」と回答されています。
つまり、家の構造全体に関わる部分が損傷しており、倒壊の危険も考えられます。
高齢になると空家の処理が面倒になる
空家の所有者は、これから空家をどのように活用しようとしているのでしょう。
一番多いのは「自分たちで利用する」でした。しかし、家や管理の状況を見ると具体的な利用は難しそうに見えます。
次は「空家にしておく」です。しかし、地方自治体の対策強化などで、これも難しくなりつつあります。
そして、「賃貸/売却」や「取り壊す」など、積極的な対策を考えている人は、あまり多くありません。
これは、所有者の半分以上が、65歳以上の高齢者であることも影響しているでしょう。
高齢者にとって、空家の処分のような大きな問題は面倒なことであり、できれば忘れていたいことなのです。
相続などで、家や土地を持つことになったときは、気力/体力がある年齢のうちに処理することが大切です。タイミングを逃すと、ずるずると廃屋への道をたどってしまいます。
「イザッ」という時が来たら、早めに専門家に相談して、家や土地の活用の方針を決めてしまいましょう。