「未納」がある人はラストチャンス。あと半年で終わる、国民年金の「後納制度」

[2018/3/26 00:00]

【お知らせ】この記事で書かれている、過去5年間分の後納制度は、2018年10月で終了しました。2018年10月からは、直近の2年分しか納めることができません。

「未納」が起きやすい国民年金

自営業や学生などが主な対象となる「国民年金」の保険料は、自分で振り込みや口座振替などを行なう必要があります。

厚生年金の保険料のように給与からの天引きではないため、「なんとなく払わないで未払いになる」ということが起きがちです。

また、転職時に何カ月か無職の状態だったときに、切り替えの手続きをしないで、未払いになってしまう例も珍しくありません。

このような未払いがあると、納付した期間が不足して「老齢年金」が受け取れなかったり、受け取れる場合でも金額が少なくなったりします。

また、「障害年金」についても、初診日の前に未納があると、年金が受け取れない場合があります。

いつもは2年分なのを、期間限定で5年分まで

国民年金の「未払い」は、期限から2年間は納めることができます。

しかし、それを過ぎると「時効」になって納めることができません。

それを救済するために、2015年10月から2018年9月までの3年間限定で、「国民年金保険料の後納制度」が実施されており、過去5年分について、納めることができます。

この制度の期限が、あと半年に迫っています。

期間の延長や、次の制度の案内は、いまのところありませんので、この半年がラストチャンスとなります。

資格の取得や、年金の増額に有効

「後納制度」で、納付できるのは、5年以内に納め忘れの期間や未加入がある人です。

後納することのメリットは、2つあります。

  • 老齢年金の受給資格が無い場合、資格が得られる可能性がある
  • 将来受け取る年金額が増える

まず、受給資格から見ていきましょう。

65歳から受け取れる老齢年金をもらうためには、保険料を10年間以上払っている必要があります。

5年分を払うことで、受給資格の半分を満たすことができるので、これまでほとんど払っていなかった人でも、老齢年金を受け取る可能性が増えます。

実際に、後納制度を利用したことで老齢基礎年金の受給権を得た人は「57,884件」に上ります。

次に、年金額が増える話です。

老齢年金は、保険料を払う期間と受け取れる金額が比例しています。

保険料を納めた期間が長ければ、もらえる金額も増えるわけです。

保険料を1カ月分払うと、年金が年額で「1,624円」増えます。

つまり、1年分後納すると、1,624円×12カ月で、「19,488円」増えます。

もともと満額でも、1年間に「779,300円」という老齢基礎年金なので、少しでも増えるのは良いことです。

1年に2万円弱増えても、たいしたことがないと感じるかもしれませんが、年金は思っていたより長い期間受け取る可能性があります。

例えば、80歳まで生きたとしても、25年間は受け取るわけですから、受け取る年金の総額には大きな差が出ます。

実際に、後納制度を利用したことで老齢基礎年金の年金額が増えた人は「97,621件」に上ります。

なお、国民年金の保険料は、全額が「社会保険控除」の対象になるので、まとめて保険料を納めると、所得税や住民税を減らすことができます。

個人事業主の人は、節税のチャンスなので、申告の際に忘れないようにしましょう。

【お知らせ】この記事は、2018年10月28日に内容を更新しました。

[シニアガイド編集部]