2030年まで人口が増えるのは、「東京」と「沖縄」だけ
地域ごとに人口を予測
国立社会保障・人口問題研究所が「日本の地域別将来推計人口」の結果を公開しています。
これは、2015年の国勢調査をもとにして、地域間の人口移動を考慮し、その地域の人口の変化を予想したものです。
ここでは、都道府県単位の人口の変化から、いくつかのトピックを拾って紹介します。
人口が増えるのは「東京」と「沖縄」だけ
まず、基準となった2015年と、15年後の2030年、そして30年後の2045年を比べて、人口が増える都道府県を見てみましょう。
2030年に、2015年から人口が増えるのは「東京」と「沖縄」だけです。
さらに、2045年になると、人口が2015年を上回るのは「東京」だけになります。
しかし、東京も2030年の「1,388万3千人」が人口のピークで、2045年にかけては、少しずつ人口が減っていきます。
2045年には秋田の人口は4割減る
2030年に人口が減るのは、「東京」と「沖縄」を除いた45の道府県です。
中でも、特に人口の減る割合が高いのが「秋田」です。
秋田は、2030年には、2015年の約80%、2045年には約60%まで人口が減ります。
つまり、現在の人口から4割以上も人が減ってしまいます。
秋田以外では、「青森」「高知」「山形」「福島」が、人口の減る割合が高い県です。
「南関東」に人が集まる
都道府県単位ではなく、もう少し広い「地方」単位で見てみましょう。
2045年に、全国に占める人口の割合が上がるのは「南関東」だけです。
ここで言う「南関東」は、「埼玉」「千葉」「東京」「神奈川」の1都3県を指します。
逆に、全国に対する人口の割合が下がるのは「東北」です。
「東北」は、単に人口の減り方が大きいだけではなく、他の地方への人口の流出が多いことが影響しているのでしょう。
高齢化率は「東京」と「沖縄」が低い
65歳以上の人口が、全体の人口に占める割合を「高齢化率」と言います。
「全国」の高齢化率は、2015年には26.6%でしたが、2045年には36.8%まで上がる見込みです。
2015年の時点で、高齢化率が一番低いのは「沖縄」でした。全国で唯一、高齢化率が20%を切っています。
しかし、2045年には「東京」が一番低くなり、「沖縄」を逆転します。
秋田県民の2人に1人は65歳以上になる
逆に高齢化率の高い県を見てみましょう。
2015年に高齢化率が一番高いのは「秋田」でした。この時点で33.8%です。
さらに、2045年になると、「秋田」の高齢化率は50.1%になります。
つまり、秋田県の住民の、2人に1人は65歳以上となります。
なお、秋田は「75歳以上人口の割合」でも、2045年には31.9%と予想されています。
つまり、秋田県の住民の、3人に1人は75歳以上となるわけで、高齢化の深刻さが分かります。
人口の減り方は一様ではない
今回の調査のように、地域別の人口の推移をみると、その地域内での人口の増減である「自然増減」だけではなく、他の地域との人の移動である「社会増減」の影響が多いことが分かります。
単に人口減と言っても、その減り方については、地域ごとに差があるということです。
しかし、社会増が大きい「東京」でも、2030年をピークにして、人口の減少が始まります。
そこから先は、47の都道府県すべてで、人口の減少が起き、高齢化率も上がります。
ただし、そこにたどり着くまでの道のりは、それぞれの県によって異なることは覚えておいても良いでしょう。