実際に使われているテレワーク制度の内容と課題
実際にテレワークしている人への調査
国土交通省が、勤務先にテレワーク制度がある人を対象に、その制度の内容や課題を調査しています。
この調査は、2017年11月にインターネット経由で行なわれ、4,612人が回答しています。
「テレワーク」とは、「インターネットなどの通信技術を利用して、会社から離れた場所で仕事をする」ことを意味します。
特定の場所以外は認めていないことが多い
まず、「テレワークが認められている場所」を聞いています。
一番多いのは「自宅」で、これと「自社の他の営業所」の2つが50%を超えています。
テレワークが認められている場合でも、会社にアクセスする場所には一定の制限があることが分かります。
部門や職種を問わない会社は3割しかない
また、テレワークが「全部門・全職種」で認められている会社は、29.7%しかありません。
残りの70.3%は、職種などに一定の制限があります。
また、「役職・勤続年数に関係なく認めている」のは54.7%に留まっています。
半分弱の会社は、役職や勤続年数で制限を設けています。
3社に1社はテレワークする理由が必要
32.5%の会社には、「自宅からのテレワークが認められる条件」があります。
例えば、「育児」「介護」「病気/ケガ」などの理由が必要です。
使用する機器は会社からの支給品
「テレワークで使用可能な機器」は、勤務先から支給される場合が多いようです。
使用機器は、「パソコン」が多く、「タブレットやスマートフォン」が続きます。
自分所有のパソコンを利用している人は25%に留まっています。
上司の許諾がいらない人は半分
自宅でテレワークする際に、「そのつど書面やメールによる申請/承認が必要」な人は47.4%です。
一方、「特に手続きを必要としない」が30.3%、「スケジューラーなどに入力すれば良い」が19.2%でした。2つを合わせると、49.5%です。
つまり、あらかじめ上司の許諾を必要とする人が半分、必要としない人が半分と、きれいに別れます。
報告の必要のない人は4割に留まる
テレワークの結果について、「特に仕事の内容や成果報告の必要がない」人は40%しかいません。
半分以上の人は、テレワークによって行なった仕事の内容や成果を報告する必要があります。
また、半分以上の人は、テレワークの始業や終業時刻を上司に報告する必要があります。
上司とのコミュニケーション手段
テレワークで仕事をしている場合でも、上司や同僚とのコミュニケーションが必要となります。
「テレワークをする際のコミュニケーション手段」としては、「スケジューラーによる予定の共有」「Web会議システム」「チャットシステム」など、ネットワーク上のシステムを利用するのが主流です。
実際に会う例としては、「出社が義務付けられている日があり、顔合わせができる」という制度もあります。
実際に使われるような仕組みが必要
調査内容を見ると、全社的にテレワークを導入し、誰でも簡単にテレワークできるようにしている会社と、制度は導入しているが職種や勤務歴などで縛りを入れた上に、毎回上司の許諾が必要な会社とがあることが分かります。
テレワークの申請や許諾、仕事内容の報告、勤怠の報告などの手続きが重くなると、「名目としてはテレワーク制度が導入されているが、誰も使わない」や、「手続きが面倒なので、だんだん出社して仕事をする人が増えてくる」などの事態を招きやすくなります。
テレワークは、介護や育児など、自宅を離れにくい理由がある勤務者にとっては、会社に勤め続けるための有益な制度です。
せっかくテレワーク制度が導入されるのであれば、実際に使う人が多くなるような制度を会社に求めましょう。